私たちはPCやスマホでWebブラウザーを使わない日はないといってもよいでしょう。様々な記事を読む他、メール、音楽や動画、SNS、ショッピング、チャットやビデオ会議、書類作成など、いまやOSにインストールするアプリでできる多くのことをWeb上でできるようになりました。この特集では、そうしたWebの最新技術を解説します。
ユーザーのプライバシーを守る新技術として、Cookieによるトラッキングを防ぐ方法の他、IPアドレス自体を匿名化する方法があります。これは米Apple(アップル)がiOS 15から提供している「プライベートリレー(Private Relay)」という仕組みです。プライベートリレーはiCloudの機能の1つとして利用できます。
Apple Private Relayの仕組みiOS 15から使えるようになったプライベートリレー(Private Relay)の仕組みを示した。WWDC21のプレゼンテーション資料に基づいて作成[画像のクリックで拡大表示]
仕組みのイメージはプロキシーそのものです。アップルがWWDC21で解説した動作イメージに基づいて説明します。アップルはプライベートリレーネットワークを提供し、iPhoneからの接続先となるIngress Proxyがつながっています。実際に閲覧する外部のサイトに対しては、Egress Proxy経由で接続します。
筆者自身は今までiCloudを利用してきませんでしたが、プライベートリレーが実際にどういう動きをするのか興味が湧きました。そこで契約して検証してみました。
端末のOSにはiOS 15 Public Preview Beta 5を利用しました。ネットワークは自宅のWi-Fiの他、キャリアのモバイル網、自治体提供のフリーWi-Fi、鉄道会社提供のフリーWi-Fi、カフェのフリーWi-Fiなどを回って検証してみましたが、全ての環境でプライベートリレーを利用できました。
プライベートリレーの設定は、iCloudの設定画面から行えます。検証に使ったiOS 15のPublic Preview Beta 5では、デフォルト状態はオンになっていました。そしてIPアドレスの位置情報設定は「おおよその位置情報を保持」「国と時間帯を使用」の2種類が用意されていました。この設定を変えると、動的にEgress Proxyの出口のIPアドレスが変更されました。なお、iOS 15リリース版ではプライベートリレーはベータ版扱いとなり、デフォルト設定ではオフになっています。
iOS 15のベータ版でプライベートリレーを使ってみたiOS 15のpublic preview beta 5でプライベートリレーを使ってみた。iPhoneの「設定」→「iCloud」→「プライベートリレー」で設定できる。ただしiCloudを有料で契約する必要がある[画像のクリックで拡大表示]
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