海外ゲーム大好きな担当ライターが実際にプレイして気に入ったタイトルを紹介する“海外ゲーム名作案内”コーナー。今回は、PLAYWAY S.Aより好評発売中のPS4/Xbox One/Windowsソフト『Tank Mechanic Simulator』をとり上げます。
今日、『~Simulator』と名づけられたタイトルはかなりの数が発売されていますが、そんななかで本作が取り扱うのは“戦車”。プレイヤーは自分の作業場で、第2次世界大戦を中心に活躍した15種類の戦車やハーフトラック(前方がタイヤ、後方がキャタピラで動く車両のこと)のレストアを手がけるのです。
満を持して発売された日本語PS4版をもとに、本作の魅力を伝えていきます。
車体の内部やエンジンなど細かいパーツを忠実に再現!
本作第一の特徴は、登場する車両の構造を忠実に再現しているところ。車体や砲塔、エンジンといった基本的なパーツから、燃料システムに変速機といった戦車を動かすための装置が細かくパーツ分けされていて、それぞれ分解と組立が可能となっています。
もちろんゲームなのである程度の簡略化はされているものの、まるで精密なプラモデルを組み立てるような感覚で実物大の車両を分解&組立できるのはかなりテンションがあがりますね。
また、戦車ごとの構造の違いをゲーム内で確かめられるあたりも見逃せないポイントでしょう。例えばドイツの戦車は構造が複雑で、逆にソビエトの戦車は単純、といった特徴がプレイヤーの手で車両を組み立てていくうちに実感できるのは興味深いですね。
ボロボロの残骸を新品同様にレストアするのが楽しい!
プレイヤーはメールで来る依頼を受けるか、フィールドや中庭で見つけた車両を運び込むことで、レストアを始めます。
ほとんどが70年以上前のものだけあって、運び込まれる戦車はいずれもサビまみれでところどころパーツが欠けています。依頼では、運び込まれた車両を指定された分だけ修復すればOKですが、ついつい完成までレストアしちゃいますね。
車両のパーツは表面のサビを落としてから、ショット・ブラスト(砂などを高圧空気で吹き付けることで表面をでこぼこに研磨すること)で表面を整え塗装を行うことで、新品同様の姿にレストアされます。塗装はさび止めを使う下塗りと本塗装の2段階です。
プレイヤーの手で修復できないパーツを外注にまわしたり、欠けているパーツを購入や自作で補ったりなど、プレイヤーのやることはもりだくさん。奥の方にあるパーツを修復するために手前のものを外したり車両の中に入ったりしていると、操作自体は単純でも作業量が増えていきます。
細かいパーツをし修復していく作業の果てに、じょじょに組み上がっていく戦車の姿を目の当たりにできるのは一種のカタルシスがありますね。
地中に埋もれた戦車を見つけ出すお宝さがし的な依頼も!
プレイヤーへの依頼のなかには修復以外に、地中に埋もれた戦車を見つけるものも。依頼を受けると、プレイヤーは埋没戦車の情報があったフィールドへ移動、ドローンや金属探知機などを使って戦車の位置を割り出します。
掘り出した戦車は、高圧放水で表面の泥を洗い流してから自分の作業場へ持ち替えれます。依頼で修復した戦車は持ち主に返却する必要がありますが、こうして掘り出した戦車は自分のものにできるのが特徴です。
また、フィールドには戦車以外に当時の銃器や勲章などの装備品が埋まっていて、掘り出して持ち帰ることもできます。
戦車を発掘する依頼は、自分だけの戦車が手に入るのはもちろん、埋もれた歴史を掘り起こすロマンがあって非常に楽しいですね。入手した戦車の使い道についてはあとで紹介したいと思います。
自分の車両を手に入れる方法は、自分の作業場に隣接する中庭にある残骸を修復するものもあります。中庭の残骸は状態がかなり悪いので修復の手間こそかかりますが、ゲーム起動時にランダムで種類が変わるので運次第で自分の欲しい車両を手に入れやすいという特徴があります。
入手した戦車は乗ったり展示したりが可能!
発掘などで入手した戦車は、色を塗り替えたりデカールを貼って見た目をカスタマイズ可能である他、作業場に隣接した個人博物館に展示できます。博物館は入場料を取って人に戦車を見せることで一定時間おきに収入を得られます。
博物館では戦車の各部ハッチを開閉したり、内部に乗り込んだりすることが可能。博物館内の看板を設定したり展示ケースに発掘した銃器などを飾るなど、戦車以外の展示物もプレイヤーがカスタマイズできます。
さらに修復した戦車は燃料とオイル、不凍液を入れ、乗って動かすことも可能です。戦車を動かせる場所は、悪路や障害物が設けられた試乗コースと模擬砲弾で標的を撃てる演習場です。
乗る前にちゃんと車両ごとの所定の位置から燃料などを入れたり、走っているときにでこぼこに合わせてキャタピラが波うったりなど、細かいところも凝っているのがうれしいところです。
なお、これらの要素を利用するには、依頼の達成や博物館の運営によって得られる“評判”を使ってアンロックする必要がありますが、それほど手間はかからないと筆者は感じました。
ここまで紹介してきた『Tank Mechanic Simulator』。日本語訳が粗削りだったり、あちこちで長めのロード時間が挟まるなど厳しい部分もあるのですが、やはり実物大の戦車を自由に触れる魅力には、それらの不満点も吹っ飛ぶ感じです。
戦車好きなら間違いなく買って損はしない内容ですし、特に「かつてプラモデルをよく作っていたけど今は……」という人は、ハードとソフトがあれば手軽に組み立てる楽しさを感じられるのでオススメです。
いわゆる作業ゲームではあるのですがプレイヤーが疲れる要素があまりないので、ちょっと触るつもりで始めたらいつの間にかがっつり修復に没頭してしまう、そんな魅力の詰まった内容に仕上がっていると感じました。