IT担当者は「Windows 10」の「セーフモード」を使うと、問題のあるアプリケーションや更新プログラムといったソフトウェア、ドライバを見つけて一つずつ削除し、他のソフトウェア/ドライバへ置き換えることが可能だ。
セーフモードはOSの主要なコンポーネントを動作させて、起動の失敗やシステムクラッシュ、パフォーマンス上の問題、アプリケーションの異常動作を引き起こす可能性のある、さまざまなソフトウェアやドライバを無効にすることができる。セーフモードは、マウスやキーボード、ディスプレイを使うための最低限のソフトウェア/ドライバとともに、Windows 10を起動できる。
IT担当者はセーフモードを利用して、ユーザーインタフェース(UI)経由もしくはレジストリ操作でソフトウェア/ドライバを再び有効化し、どれに問題があるか調べることができる。あるソフトウェアやドライバを適用してシステムが不調になったら、IT担当者はセーフモードでWindows 10を起動し、そのソフトウェアやドライバを削除すればよい。さらに、そのソフトウェアやドライバの新しい修正版をインストールすることで、トラブルシューティングができる。
セーフモードは、Windows 10の起動前または起動中に、手動で有効化できる。Windows 10やアプリケーション自体が、セーフモードで起動する場合もある。
Windows 10が動作している場合、セーフモードで起動するには、次の手順を踏む。
- デスクトップの「スタート」ボタン(Windowsロゴ)をクリックし、「電源」アイコンをクリックする。
- 「Shift」キーを押しながら、「再起動」をクリックする。
システムが起動に失敗する場合は、次の手順を踏む(一部のキーや手順は、使用するPCによって異なる可能性がある)。
- PCの電源を切る。
- PCの電源を入れ直す。
- Windows 10が起動し始めたら、すぐに「F8」キーを押す。これにより「オプションの選択」画面が開く。
- オプションの選択画面で「トラブルシューティング」メニューをクリックし、「トラブルシューティング」画面で「詳細オプション」メニューをクリックする。
- 詳細オプション画面で、最下部の「その他の修復オプションを表示」メニューをクリックする。
- 切り替わった詳細オプション画面で、「スタートアップ設定」メニューをクリックする。
- スタートアップ設定画面で「再起動」ボタンをクリックすると、再起動後に、新しいスタートアップ設定画面が開く。
このスタートアップ設定画面には、3つのセーフモードオプションが表示されている。
- セーフモードを有効にする
- セーフモードとネットワークを有効にする
- セーフモードとコマンドプロンプトを有効にする
上のオプション1では、Windows 10が最小限の構成で起動する。起動が成功してWindows 10の基本機能が使えたら、ネットワーク機能が追加されるオプション2で起動してみる。もしWindows 10がクラッシュしたり、問題が見つかったりする場合は、ネットワークコンポーネントに問題があると考えられる。
オプション3は、トラブルシューティングの経験が豊富な担当者向けだ。このオプションを使う担当者は、コマンドラインを使いこなし、レジストリを変更したり、既知の不良ドライバがあるフォルダに移動したりして、それを置き換えるといったタスクを実行できる必要がある。
Windows 10がセーフモードで起動すると、個人用設定(背景など)は全て反映されず、画面の四隅に「セーフモード」と表示される。
トラブルシューティングプロセスでは「レジストリエディター」を使って、Windowsのソフトウェアやドライバを有効にしたり、無効にしたりできる。IT担当者は、レジストリを変更した経験がある場合にのみ、レジストリを変更すべきだ。レジストリを変更すると、Windowsが使えなくなる場合がある。Windowsの検索バーに「regedit」と入力し、検索結果の「regedit」をクリックすると、レジストリエディターが表示される。Windows 10を通常モードで起動し直すには、再起動すればよい。
セーフモードの問題は、トラブルシューティングプロセスにおいてセーフモードで起動するために、何度もPCを起動し直さなければならないことだ。PCを起動または再起動してオプションの選択画面を開き、何回かクリックしてスタートアップ設定画面まで進み、再起動した上でセーフモードオプションを選択する――という手順を毎回繰り返すのは面倒だといえる。
設定を変更しない限り、Windows 10を毎回セーフモードで起動することもできる。そのためには、Windows 10の検索バーに「msconfig」と入力し、「システム構成」ツールを開く。「ブート」タブを開き、「ブートオプション」欄の「セーフブート」チェックボックスをチェックする。最小構成で(ネットワークを無効にして)起動するか、ネットワークを有効にして起動するか、などを選択可能だ、他にも起動ログを生成するといったオプションがある。
必要な設定を済ませたら「OK」をクリックし、次に開くダイアログボックスで「再起動」または「再起動しないで終了する」をクリックする。これにより、それぞれ再起動時以降、または次回の起動時以降、Windows 10が毎回セーフモードで起動するようになる。
Windows 10は、自動的にセーフモードで起動することもある。PCが停電やクラッシュなどでシャットダウンした場合がそうだ。メールクライアントの「Outlook」は、こうしたシャットダウンの影響を受けやすい。PCが再起動してOutlookを起動すると、問題が発生している可能性がある場合、Outlookをセーフモードで起動するかどうか尋ねられる。これに応じると、拡張機能の「Outlookアドイン」が無効になり、Outlookがセーフモードで起動する。
明らかな問題がなければ、エンドユーザーはOutlookを通常モードで起動できる。Outlookはセーフモードで起動すると、セーフモードで動作していることをUIで示す。「Microsoft Excel」や「Microsoft Word」のような他の「Microsoft Office」アプリケーションも同様に、セーフモードで起動できる。
Windows 10では「Windowsロゴ」キーを押しながら「R」キーを押し、「ファイル名を指定して実行」ダイアログボックスで、例えば「excel /safe」「winword /safe」「outlook /safe」と入力して、Microsoft Officeアプリケーションをセーフモードで起動できる。拡張機能を一つずつ有効にして、どれが正常に機能しないか、あるいは問題を引き起こしているかを調べることが可能だ。
IT担当者は、アプリケーションをレジストリで有効または無効にすることもできる。一部のサードパーティーアプリケーションは、セーフモードで起動できない。そのためIT担当者はまず、ベンダーに問い合わせるとよいだろう。