■エアコン代はいくら?
夏になり暑さを感じ始めると、使わざるを得ないエアコン。特に最近の夏は、猛暑が続いています。熱中症を予防する意味でも、無理せずエアコンを使うことが推奨されていますよね。では、エアコンを使うことの多い夏の電気代は、平均してどのくらいかかるのでしょうか。
総務省統計局の「家計調査(家計収支編) 1世帯当たり1カ月間の支出(二人以上の世帯)」によると、2020年6月~10月の電気代は、それぞれ以下の通りでした。
・6月 9,153円・7月 8,585円・8月 9,661円・9月 11,206円・10月 10,152円
梅雨が明け、8月に入り気温が上昇すると、電気代もグンと上がり始めていることがわかります。9月には1万円を超え、夏の電気代はピークに。10月になると、気温の低下とともに電気代も1,000円以上下がっていますが、それでもまだ大台に乗ったままです。ちなみに、11月、12月の電気代はそれぞれ8,965円と9,137円。その後、寒さが厳しくなると、今度は暖房器具の使用によって電気代が上がるという流れになっています。
経済産業省の推計(※)によると、夏の昼間14時頃の在宅世帯の電気使用量のうち、エアコンの占める割合は58%にのぼるそう。暑い時期になると電気代が上がっていきますが、やはりエアコンが電気代に与える影響は大きいようですね。
※平成27年5月「夏季の節電メニュー(ご家庭の皆様)」より
エアコンによってかかる電気代は、自分で計算することもできます。ここでは、1時間あたりと1カ月あたりの電気代を計算する方法をご紹介します。1時間あたりの電気代を計算するには、
「1時間当たりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)」
で求められます。
消費電力は、エアコンの本体や取扱説明書に記載されていますので、確認してみましょう。なお、消費電力は冷房と暖房で異なります。実際に計算する際には、記載されている消費電力をkWにします(1000W=1kW)。たとえば、800Wと記載されているなら、0.8kWとなります。
1kWあたりの料金単価は、契約している電力会社やそのプランによって異なります。検針票などで確認してみましょう。たとえば、消費電力が800Wのエアコンを1時間使用した時、料金単価が26円/kWhであるなら、電気代は0.8kW×26円/kWh=20.8円となります。
次に、1カ月あたりの電気代を計算してみましょう。1カ月あたりの電気代は、
「1時間あたりの電気代×1日の使用時間×1カ月あたりの使用日数」
で計算できます。1時間あたりの電気代20.8円、1日の使用時間8時間、1カ月あたりの使用日数25日で計算すると、20.8円×8時間×25日=4,160円となりました。ただし、エアコンは運転中に消費電力が変わるため、必ずしも正確な金額にはなりません。「夏はエアコンだけでいくらかかるのか」を大まかに知る目安として捉えましょう。
■エアコン代を節約するには
暑い夏に電気代が高くなるのは、ある程度仕方のないこと。しかし、できることなら何とかして抑えたいものです。エアコン代を節約するためには、どのような工夫をすればいいのでしょうか。
電気代が気になるからといって、「涼しくなってきたらスイッチをオフにし、また暑くなってきたらオンにする」というこまめな切り替えは避けましょう。かえって電気代がかさむ原因となります。
なぜなら、エアコンは、室温を下げて設定温度にするまでの間が、一番電気代がかかるためです。つまり、涼しくなったからといってスイッチをオフにしてしまうと、次に再度エアコンをつける時、余分な電気代がかかってしまうのです。同じ理由で、最初から弱運転にするのもよくありません。設定温度にするまでに時間がかかってしまい、その分電気代が高くなってしまうからです。
エアコンの電気代を節約するなら、自動運転でつけっぱなしにしましょう。エアコンの自動運転は、はじめに一気に設定温度まで冷やして、その後は微弱運転や送風運転で室内温度を保ってくれます。ただし、外気温があまり高くない、もしくは、夜間などの場合は、オンオフを切り替えるほうが節約になるケースもあります。
環境省によると、夏の室温は28度を目安にすることが推奨されています。ここでいう「室温」とエアコンの「設定温度」は異なりますので、室温が28度になるよう設定温度も調整していきましょう。
最新のエアコンは省エネ機種が多いため、古いエアコンを新しいものに変えるだけで、電気代を節約できることがあります。それに、多くのメーカーではエアコンの標準使用期間を10年としており、それを超えて使用すると、故障の確率が高くなると言われています。10年以上使っているエアコンは、買い替えを検討してみましょう。
エアコンを使う時は、サーキュレーターを併用してみましょう。室内の空気が循環し、電気代を節約することにつながります。冷房を使用する際、エアコンのルーバー(吹き出し口に付いている羽)を水平にすると、冷風は天井付近を伝って突き当りの壁にぶつかり、下へ降りていきます。
サーキュレーターは、エアコンと反対側の冷風の落ちるあたりに置き、エアコンに向けて風を送るように設置します。すると、空気が循環して室内の温度差が縮まり、エアコンも余計な冷風を出すことがないため、電気代が節約できるのです。
室外機の周りに物があると、熱が効率的に放出されず、電気代が高くなります。特に、吹き出し口がふさがらないよう、室外機のカバーは屋根型のものにする、草むしりをしておくなどして、環境を整えておきましょう。
エアコンのフィルターが汚れていると、エアコンの運転効率が下がり、余分な電気代がかかってしまいます。2週間に1度を目安に、簡単なフィルター掃除を行いましょう。
■工夫して暑さを乗り切ろう
エアコン代を節約する方法はいくつもありますが、まずは、自分にできることから始めたいですね。工夫して電気代を抑え、暑い夏を乗り切りましょう。
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中
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