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文:ゴジラ太田 2022年1月28日(金)に公開予定の映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、ゲーム版『バイオハザード』、『バイオハザード2』のラクーンシティを舞台にした『バイオハザード』の原点を描く新たな映画となっている。本記事ではヨハネス・ロバーツ監督をはじめ、クリス(ロビー・アメル)、レオン(アヴァン・ジョーギア)、クレア(カヤ・スコデラリオ)、ウェスカー(トム・ホッパー)を演じた計5名へのインタビューを掲載。【記事の画像(5枚)】を見る 『バイオハザード』に対する想いや原作へのこだわりなど、貴重な話をうかがうことができた。ネタバレ要素はほぼないので、事前に読んでおけば映画をより楽しめるはずだ。『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』プロローグ 巨大複合企業の拠点があるラクーンシティ。この街の孤児院で育った主人公クレア・レッドフィールド(カヤ・スコデラリオ)は、がある事故を起こしたことで、街に異変が起きていると警告する不可解なメッセージを受け取り、ラクーンシティへと戻ってきた。 ラクーン市警(R.P.D.)の兄クリス・レッドフィールド(ロビー・アメル)はクレアの言うことをありえない陰謀論とあしらうが、やがてふたりは街中を彷徨う住民たちの変わり果てた姿を目の当たりにする。 つぎつぎと襲い掛かってくる住民たち。そんな中、ふたりはが秘密裏に人体実験を行ってきたことを知るが……。監督&主要キャストインタビューヨハネス・ロバーツ監督――ゲームの物語を映画化することにあたり、どのようなことを課題にしていましたか?ヨハネス 映画とゲームとの違いは、キャラクターが生きているということですね。そのため、キャラクターを演じる役者さんたちには『バイオハザード』のゲームをプレイするように伝えました。ロビーはもともと熱心な『バイオハザード』ファンだったので問題ありませんでしたが(笑)。 わたしも『バイオハザード』が好きなので、ゲームを彷彿とさせるシーンを映画に散りばめていくことは楽しかったのですが、単純にそれらを見つける目的ではなく『バイオハザード』という世界に息を吹き込みたかったんです。また、『バイオハザード』をカルト映画のようにしないようにすることも心がけていました。映画を楽しみにしている方たちは、ゲームとしての側面を望んでいる反面、新しいものも望んでいると思うんです。そのバランスは難しかったけど、納得できたものを製作できたと思っています。――これまでに公開された『バイオハザード』映画化作品と比べると、ゲームをプレイした人をかなり意識されているなと感じました。原作ファンを楽しませることは、この映画のコンセプトのひとつなのでしょうか?ヨハネス わたしはゲームの『バイオハザード』が大好きなので、同じファンに喜んでもらうためには、わたしが観てみたいと思っているものを映像化することが重要だと考えていました。同じファンの方でも子どもと大人では『バイオハザード』に対するイメージが違いますよね。その人たち全員が納得する映画を作るのはとても難しいと思いますが、わたしの『バイオハザード』に対する情熱が、映画を通して皆さんに届くことを願っています。――ロビーは歳を重ねたら『バイオハザード ヴィレッジ』のクリスを演じたいと言っていました。それについてどう思いますか?ヨハネス 『バイオハザード ヴィレッジ』はプレイステーション5で遊びたいんだけど、まだ手に入らないんだよ! プレイステーション4は持っているんだけどね。でもせっかくならプレイステーション5でプレイしたい。だれかプレイステーション5を手に入れる手助けをしてくれないかな。『バイオハザード』の映画監督までしているのに、だれもプレゼントしてくれないんだよ(笑)。クリスのキャラクター性については探求するところがたくさんありますね。ロビーはどてもユーモアのセンスがあるので、まずはクリスについて、これまで彼が演じてきたキャラクターを越えるようにプッシュするところから始めました。――映画全体のテーマをお聞かせください。ヨハネス それは難しい質問ですね。映画に対してのアプローチは“隠された秘密”がテーマでした。クレアが過去に立ち向かうためにラクーンシティに戻ってくる。そして、どのキャラクターも過去の“なにか”に悩まされているんです。ラクーンシティには秘密に満ちていて、それぞれのキャラクターが自分の秘密を明らかにして、過去に向き合っていくんです。うーん、これ以上は難しいかな。代わりにわたしが好きな色でも答えようか?(笑)――映画を拝見しましたが、アクションとホラーのバランスが素晴らしく本当に恐怖を感じました。監督と『バイオハザード』との出会い、印象的な思い出があれば教えてください。ヨハネス 『バイオハザード』に出逢ったのは1990年代で、世界的にホラーというジャンルが低迷しているときでした。わたしはホラーにとても情熱を持っていて、『バイオハザード』をプレイしたら、わたしの求めるホラーという定義がすべて含まれていたんです。ゲームを通してホラーについて同じように考えている人たちがいることを知ったのが、とてもうれしかったですね。ほかの人が『バイオハザード』をプレイするところも見ていたのですが、彼らが楽しんで怖がっているなか、わたしはその奥にある開発陣の方たちの情熱を理解していました。 『バイオハザード』はわたしのからだの一部といっても過言ではないですね。『バイオハザード』に出逢ったころに映画製作者となったので、ともに30年近く歩んできました。なので、『バイオハザード』の映画を作れたことにとても感謝しているし、うれしく思っています。――現代のホラーは、昔と比べてさらに幅広いジャンルへと育っています。それについてはどう思いますか? そして、現在のホラージャンルに対して、この映画の位置付けを教えてください。ヨハネス いまはホラー映画にとって非常に興味深い時期ですね。ストーリーテラーとしてわたしの糧になったのは、スティーヴン・キングとジョン・カーペンターのふたりです。毎朝、起きたら自分がふたりのどちらかになっていないかなと思いながら過ごしていました。彼らは映画から遠ざかった時期もありましたが、いままた脚光を浴びています。これらの年配のクリエイターが再び人気を博すのは、クレイジーな時代の象徴とも言えるでしょう。 『ヘレディタリー/継承』(※)を観たときは、皮膚になにかが潜り込んでいくような感覚を覚えました。ストーリーテラー兼ディレクターとして、観客をこういう気持ちにさせたいと思い、『バイオハザード』ではリサ・トレヴァーというキャラクターを前面に押し出しました。そして、ズームレンズやドローンなどは使用せず、70年代の単一のカメラで撮影し、レトロな作りを心がけました。エクソシスト風の映画製作の気持ちに戻りたかったんです。また、西部劇のようなジョン・カーペンター風のユーモアも目指しました。映画を観てくれた方が、そこにどのような反応を見せてくれるのか興味深いですね。※2018年に公開されたアメリカ合衆国のホラー映画。監督はアリ・アスターで主演はトニ・コレット。 『バイオハザード』はスティーブン・キングとジョン・カーペンターによる、昔ながらの名作への愛と経緯を込めて製作しました。ラクーンシティは、間違いなくスティーブン・キング風な町ですね。音楽はエンニオ・モリコーネ(※)を彷彿とさせるスタイルになっていますが、きっと若い人たちも好きになってくれると思います。ホラー映画は、つねに新しいアイデアが必要となります。新鮮な恐怖じゃないと部屋に明かりをつけたようなもので、怖くなくなってしまうんですよね。ホラーというジャンルは、絶えず改革されていくと思いますよ。※映画音楽で有名なイタリアの作曲家。――ピアノの旋律で洋館の隠し扉を開けるシーンは、原作『バイオハザード』を連想しました。こちらはゲームファンへのサービスでしょうか?ヨハネス あのシーンはぜひ欲しいと思っていましたが、どうやって映画に取り入れるかで苦労しましたね。ゲームを彷彿とさせるシーンを数多く入れたかったのは事実ですが、それだけを探すような映画にはしたくなかったんです。すばらしい映画を作るには、ストーリーテリング(物語を作ること)とキャラクターが主要となります。ゲームファンへのサービスは、そのつぎに考えている要素ですね。――さきほどの質問ですが、好きな色はなんですか?ヨハネス 本当に聞くんだ(笑)。学生のときに部屋を黄色く塗ったので、黄色と答えておきましょう。ロビー・アメル(クリス・レッドフィールド役)――ゲームの『バイオハザード』については、映画に携わる前からご存じだったのでしょうか?ロビー もちろん! 『バイオハザード』には年齢制限があるんだけど、それよりも低い年齢からプレイしていましたね。第1作の『バイオハザード』で洋館を探索しているときに、窓ガラスを割って外からゾンビ犬が飛び込んできて死ぬほど驚いたのは、25年経ったいまでも忘れられませんよ(笑)。――ロビーさん演じるクリスが、ゲームそっくりで驚きました。髪型や立ち振る舞いなどはゲームを意識して研究されたのですか?ロビー ありがとう。でも見た目は運よくゲームのクリスに似ていただけだと思いますよ。脚本を読んだとき、もし制作陣がクリスの見た目を重視しているなら、ぼくにクリス役のチャンスがくるんじゃないかとは思っていました。ヨハネス監督にお会いした時に、監督も『バイオハザード』の熱烈なファンであることを知り、この映画の制作に情熱を持っていることがイチファンとしてうれしく思いました。――『バイオハザード』ファンとして、クリスの役が決まったときは、どのような気持ちでしたか? また初めて衣装を着たときの感想もお聞かせください。ロビー 最初は電話がかかってきて「映画版『バイオハザード』でキャスティング候補に挙がっている。脚本を送るので監督に会いたいかどうか考えてほしい」という話がありました。ぼくは考えるまでもなく、ぜひ監督にお会いしたいって即答しましたね。脚本を読んだら『バイオハザード』(第1作)、『バイオハザード2』に忠実な、すばらしい脚本で興奮したのを覚えています。初めてヨハネス監督とお会いしたときはオンライン打ち合わせだったのですが、1時間ほどゲームの話で盛り上がってしまって(笑)。 その後、本作に対する構想や雰囲気やイースターエッグ(仕掛け)、どのようなカメラワークで、どのシーンを撮るのかなど、さまざまなことを話し合いました。時間はあっという間に過ぎ、最後に監督はぼくとぜひ映画を撮りたいから、また連絡するよと言ってくれたんです。ぼくは嬉しくて呆然とし、近くにいた妻に「映画の役が決まったようだ」と話したら、すごく喜んでくれて。 初めての衣装合わせでは何着か着たのですが、緑色のフラックジャケットを着たときに、周りのみんなが「これだ、間違いない、完璧だ!」と言ってくれて。その後、すべてのキャラクターの衣装案の写真をカプコンに送ったところ、ぼくの衣装については「まるでクリスそのものだ、すばらしい」とだけ書いてありました(笑)。――クリスを演じるにあたってたいへんだったところを教えてください。ヨハネス監督は、あなたにどんなアドバイスをしましたか?ロビー たいへんだったのは、ゲームの中で彼の完璧な人間像がまだ出来上がっていないという点でしたね。そこにヨハネス監督が原作のキャラクターを重んじながらも、人間らしい欠点を加えました。たとえば、クリスが子どものころ、クレアに対してのある言動を後悔しており、それが原因で現在の同僚たちともいい関係が築けずにいるんです。そこにクレアが現れるのですが、彼女にも心を開こうとはしない。クリスがタフで強いスーパーヒーロー的な活躍を見せるだけでなく、人間的な弱い部分もあることで物語に深みが出てくるんです。ぼくは、このヨハネス監督が加えたバックストーリーを、とても気に入っていますよ。――大勢のゾンビたちと戦うシーンでは、どのような苦労がありましたか?ロビー ゾンビとの戦いで苦労したところはありませんでした。暗いダイニングホールのシーンでは、ぼくの銃のマズルフラッシュ(発砲時の閃光)だけでスタント・コーディネイターと動きを確認して1日中練習していました。ゾンビの姿をしたスタントプレイヤーが10名いて多くの戦闘シーンを撮りましたが、ほとんどワンテイクでしたね。とにかく楽しく撮らさせてもらいました。ゾンビ役のスタントプレイヤーの倒れかたや落ちかたなどの演技もすばらしかったので、クリスがよりタフで強い男という印象を与えることができたんです。――本作の続編が制作されるとしたら、どのゲームのシーンを取り入れたいと思っていますか?ロビー ヨハネス監督が、あるインタビューで『バイオハザード コード:ベロニカ』と『バイオハザード4』を映画化する構想を持っていると語ったそうなんです。本当に実現したらすばらしいですよね。撮影はヨーロッパや北極に及びますし、スケールが大きく広がります。その作品の撮影にも参加できたら、これほどうれしいことはありません。ぼくはクリスを演じることが大好きですし、ヨハネス監督も信頼しています。監督がつぎの指揮も執るとしたら、喜んで参加しますね。――共演者にフットボールをぶつける経験は、いかがでしたか?ロビー あるシーンのリハーサルで、フットボールがアヴァン(レオン役)に投げられたように見せるはずだったんですが、それがたまたま彼の目に当たってしまったんです。でも彼は大丈夫、気にしないでって言ってくれて。すぐに冷やしたので、跡が残ったり腫れあがることはなかったのですが、ひどい(ことをしてしまった)経験でした。しかも、そのシーンはもともと脚本にはなかった部分で、最終的に採用されなかったんですよ。――以前の実写化映画『バイオハザードIV アフターライフ』では、ウェントワース・ミラーがクリスを演じていました。本作でロビーさんがクリスを演じられる際、ウェントワース・ミラーのクリスとは違うものにしようと意識しましたか?ロビー ぼくはウェントワースのファンで、すばらしい役者だと思っています。彼のクリス・レッドフィールドはすごくクールだったけど、本作はウェントワースが演じた『バイオハザード』とは少し雰囲気や世界観が異なっているんです。そのため、彼のクリス像を避けるようなことは、とくにしませんでしたね。ゲームでのクリスと、ヨハネス監督が求めるクリスを忠実に演じただけですが、それがすごく心地よく感じました。――本作は『バイオハザード』シリーズの1、2作目をベースに制作されていますが、クリスは別の作品にも登場しています。『バイオハザード ヴィレッジ』ではクリスが少しダークなキャラクターになりましたが、どの作品がいちばん好きですか?ロビー ぼくは『バイオハザード コード:ベロニカ』がいちばん好きなので、もし映画製作が実現したらクリスを演じてみたいですね。『バイオハザード ヴィレッジ』のような雰囲気が異なるクリスも演じてみたいですが、そのためにはぼくがもう少し歳を重ねないとならないかな(笑)。――ネタバレしない程度で、映画でのお気に入りシーンを教えてください。ロビー 先ほども言いましたが、ダイニングホールでのシーンが気に入っています。ほかには、初めて洋館に足を踏み入れたときかな。洋館や警察署は、ヨハネス監督が映画のセットを作るためにカプコンさんから設計図をもらい忠実に再現したんです。小さなころからプレイしていたゲームの世界そのものが目の前にあったので、そこに自分が入っていくシーンは、すごく印象に残っています。 ウィリアム・バーケンとの戦闘シーンも楽しかったし、演じたニール・マクドノーも大好きです。あの役は演じるのがとてもたいへんだったと思うのですが、すばらしい演技でした。ぼくが最初に撮影したのは、クリスが自宅でクレアと再会するシーンだったのですが、そこで「『バイオハザード』の映画に出演するという夢を叶えたんだ」と感慨深くなりました。どれも一生忘れることのないものですね。――コロナ禍の中での撮影でしたが、どのように撮影に必要な体力を維持していたのでしょうか?ロビー 撮影当時は息子が1歳だったのですが、息子を抱きながらスクワットをしたり持ち上げたりして体力作りしていました(笑)。実際は自宅にトレーニング器具を持ち込んで、原作のクリスに近づけるように体作りに励んでいましたね。撮影場所だったサドベリーではコロナ感染の影響が比較的少なかったので、スタッフもそこまで不安になっていなかったんじゃないかな。トムといっしょにフィットネスでトレーニングもしていたので、撮影に入るときには準備万端でした。――本作はゲームの『バイオハザード』を題材にした映画ですが、ゲームを未プレイの人が観ても楽しむことはできますか?ロビー 原作のゲーム経験者ならばとても興奮すると思いますが、ゲームを知らなくてもひとつの映画として楽しんでもらえると思います。もし映画を観て『バイオハザード』を気に入っていただけたら、ぜひゲームもプレイしてほしいですね。ゲームをプレイすることで、映画の先の物語も楽しめますし、どんどん世界が広がっていきますよ。この映画がきっかけで、より多くの『バイオハザード』ファンが生まれることを願っています。――忠実に再現された洋館や警察署のセットのほか、原作ゲームを彷彿とさせるシーンなどが数多く撮影されました。セットや小道具、仕掛けなどで、どれがいちばんお気に入りでしたか?ロビー 先述の通り、いちばんのお気に入りは洋館に足を踏み入れたときですね。あとはラボに赤、青、緑のハーブが置かれていたり、ヘリコプターのコールサインがゲーム『バイオハザード』の発売日の並びだったりなど、ファンだったら2回、3回と観たくなるような細かい演出や仕掛けがたくさん用意されていますよ。――クリス役としてすばらしい演技をされましたが、もしクリス以外だったら、誰の役を演じてみたいですか?ロビー 演じるわけではないけど、ぼくがすごく惹かれたのはリッカーのシーンですね。ぼくはそのシーンの撮影時にいなかったのでどうやって撮ったのかわからないけど、CGを駆使したのかな? もしかしたら、ハーネスをつけて実際に走って、それをコンピューター処理したのかもしれません。予告編や本編でそのシーンを観たのですが、本当にすばらしかったですね。――フットボールを顔面に当てたアヴァン(レオン役)さんから、キャストやスタッフの仲がよくて、とてもいい雰囲気で撮影ができたと言っていました。ロビーさんもなにかおもしろい内輪話などありますでしょうか?ロビー 残念ながら変わった話はあまりないですね。でもアヴァンの言うように、コロナ禍での撮影だったので大勢のキャストやスタッフたちと親しくなって連帯感が生まれ、撮影がスムーズに進んだことはよかったなと思いました。――先ほど、1歳の息子さんでトレーニングしているとおっしゃっていました。将来は息子さんと『バイオハザード』のゲームをプレイしたり、映画を観たいと思っていますか?ロビー もちろんです! ぼく自身がゲーマーですし、最近はVR対応の『バイオハザード』作品を手に入れたので、プレイするのをとても楽しみにしています。でも息子にプレイさせるのは、もう少し大きくなってからですね。ぼくは8歳のときに1作目の『バイオハザード』をプレイしたのですが、いま思えばさすがに早すぎたかなと(笑)。両親が共働きだったので、親の目が届かないところでアイスホッケーやゲームに明け暮れていたんです。ただ、息子と楽しいことを共有するということは、とてもうれしいことなのでいまから楽しみですね。――『THE FLASH/フラッシュ』(※)でロニー・レイモンド/ファイヤーストーム役を演じられていましたが、演技のアプローチはスーパーヒーローものと『バイオハザード』のようなアクションホラーで異なることはありますか?※2014年から放送が始まった、DCコミックスのフラッシュを原案とするアメリカ合衆国の実写テレビシリーズ。ロビー 映画の世界観はもちろん大事ですが、いちばん重要なのはキャラクター自身です。その人間性をしっかり表現すれば、観た人がそのキャラクターに共感できるんです。ですから、どちらのタイプの映画も、ぼくはキャラクターの人間性を第一に演技し、観た人全員に共感して応援してもらえることを目指しているんです。そこさえ意識しれいれば、どのような役の演技も難しくないと思いますよ。カヤ・スコデラリオ(クレア・レッドフィールド役)――『バイオハザード』シリーズではクレアは重要な役割となるキャラクターです。クレアを知らない人のために、映画における彼女について教えてください。カヤ クレアは同じ『バイオハザード』で登場するクリス・レッドフィールドを兄に持つ、とてもタフな女性です。映画では幼いころをラクーンシティの孤児院で暮らしていましたが、町や孤児院に異変を感じて逃げ出します。その後は自立して、現在のような強い女性へと成長していきました。そしてラクーンシティに戻ることになるのです。――バイクで走ったり銃を撃つなど派手なアクションが多いキャラクターですが、撮影時は苦労されましたか?カヤ いちばんたいへんだったのは天気ですね。マイナス22度という気温の中で撮影することもありました。バイクでゲームでのシーンを再現するためにレインマシンを使ったのですが、道路がすぐに凍ってしまうんです。そこもかなり苦労しましたね。撮影はすべて夜中だったので、3ヵ月くらいは太陽の光を浴びていなかったかな(笑)。でもすばらしいシーンに仕上がったので、がんばった甲斐がありましたね。――映画にはリサ(※)も登場しますが、ゲームではクレアとリサは接点がありません。クレアにとって、リサはどのようなキャラクターですか?※『バイオハザード』のリサ・トレヴァー。キャラクターとして登場したのはニンテンドーゲームキューブ版が初。カヤ 映画では、リサはクレアにとって非常に重要となる人物です。孤児院で暮らしていたころ、クレアが見る悪夢にリサが出てくるのですが、クレアが成長するにつれ、それが現実の出来事だったかもしれないと気づいていきます。その後、クレアはリサと再会し、幼少期のころの経験を語りお互いを理解していくようになるんです。――クレアに抜擢されたときの心境をお聞かせください。カヤ わたしはアクション映画やスタントが大好きなので、とても嬉しくてワクワクしましたね。『バイオハザード』シリーズはとても長く続いていて、何世代にもわたって多くのファンがいることに興奮し、すばらしく思っています。その作品でクレアを演じることにプレッシャーは感じましたが、彼女らしいキャラクターとして命を吹き込むことができたのは、貴重な経験になりました。――『バイオハザード』の世界観を知るためにゲームプレイはされたのでしょうか? それとも脚本を忠実にこなしていったのですか?カヤ 『バイオハザード』ファンにとってのクレア像を壊したくなかったので、ゲームプレイはもちろん、インターネットでファンがクレアについてどのような思いを持っているのか、そして彼女になにを期待しているのかなど調べました。ヨハネス監督が作りたかった雰囲気を100%理解したかったんです。そのために必要だったのは、映画を観る人たちに恐怖や興奮をどのように感じさせるか、ということですね。ゲームをプレイしているときと同じような恐怖感を再現したかったんです。――ゾンビの魅力はなんだと思いますか?カヤ 映画は、人々がいつもの生活から脱出して別の体験に没頭するための時間と考えています。その体験の中でも、死者が生き返るというものほど恐ろしいものはないですよね。いろいろな種類のゾンビがいて、ウイルスの進化にも段階がある。この非日常な体験ができるホラー・ゾンビは世代から世代へと楽しめるものだと思います。――クリスと接するときとレオンと会話するときでは、演技を使い分けているように感じられました。そのこだわりを教えてください。カヤ クリスとは兄妹愛とトラウマが混在していたので、再会するときは複雑な心境を表現したかったんです。このふたりはまだ解決していない問題も抱えていますが、幼少期に“あるトラウマ”をともに経験しているので、深い絆で結ばれているんです。クレアも兄であるクリスを頼っている、という感じですね。 レオンに関しては、少し厳しく当たっていますね(笑)。頼っているクリスと異なり、レオンは新米警官ということで少し下に見ているイメージでしょうか。そのため思ったことを容赦なく言ってしまいますが、困難な状況を乗り越えていく過程で、レオンとも徐々に深い絆が生まれていきます。その変化も楽しんで観てほしいですね。――クレアの象徴でもある赤いジャケットを着たときと、セットに足を踏み入れたときは、どのような気分でしたか?カヤ 赤いジャケットは彼女のトレードマークなので、どのジャケットを使うのか選ぶところからすごく悩みました。ジャケットは彼女にとって鎧のようなものなのですね。劇中にジャケットがダメージを受けて破けるようなシーンも検討しましたが、ずっと着ていることが重要だと思ったので、ジャケットを脱ぐことはありません。撮影では雨でジャケットが濡れたとき、気温が低いのですぐに凍ってしまうんですよ。何着も着替えながら撮影していました。クランクアップ後に赤いジャケットをプレゼントされたこともうれしかったですね。――映画の見どころや、お気に入りのシーンがあればネタバレにならない程度でお聞かせください。カヤ 孤児院でのシーンはゲームに忠実な雰囲気の中で演じられたので、そこを見ていただきたいですね。孤児院のセットはすごく精密に作られていて、撮影中もずっと不気味さを感じていました。孤児院は廃校を使っていたので、すごくリアルだったんです。――クレアは勇敢で強い女性として、映画史に残る女性キャラクターのひとりだと思います。クレアの好きなところ、惹かれるところを教えてください。カヤ 過去を忘れて人生を歩むほうが楽なのに、あえてラクーンシティに戻ってくるところですね。兄を救いたい、故郷を救いたいという思いがとても素敵だと思いました。――ミラ・ジョヴォヴィッチも映画『バイオハザード』で強い女性を演じて一躍有名になりました。クレアが強い女性であったことは、あなたにとって重要でしたか?カヤ もちろん! わたしは強い女性キャラクターが大好きなんです。いっしょに仕事をした人たちが、わたしに強い女性キャラクターという役割を望んでいることもうれしく思っています。強い女性こそがわたしの出発点となっているんです。――若いときに大役を演じて、その後も大ヒットの作品に出演し続けています。女優として変わったところや、いまの立場にたどり着くまでに、どのような教訓を学びましたか?カヤ 初めて演じた作品が、テレビドラマの『スキンズ』だったんですが、予算がなくブリストル周辺の汚れたパブで撮影していたんです。でもそれが逆にラッキーで、このときは俳優というより子どもたちが好きなことをやって楽しんでいるという感覚で撮影できたんです。とてもいい雰囲気で仕事ができたのを覚えています。このときの多くのキャストたちとは、いまでも仲良くさせてもらっていますよ。 ハリウッドの大ヒット映画の仕事では、より多くのセリフや、静かな役を演じるなどいろいろな経験をさせてもらいました。セットが凍えるほど寒かった映画など、環境面での演技の技術も学んでいけました。近年では世界的なパンデミックにも対処しなければなりませんでしたが、わたし自身の働きかたに対する考えは変わりませんでした。『バイオハザード』の映画を撮り終えた後に、若い映画製作者によるニュージーランドの小さなインディーズ映画に参加したのですが、これからも新しいチャレンジに積極的に参加していけば、まだまだ成長できると考えています。アヴァン・ジョーキア(レオン・S・ケネディ役)/トム・ホッパー(アルバート・ウェスカー役)――映画のレオンは、ゲームの『バイオハザード2』を意識されているように感じました。アヴァンさんが演じた際は、どのような表情を意識されていましたか?アヴァン レオンは『バイオ』ファンにも愛されているキャラクターです。僕自身も大好きなキャラクターで、ゲームでは何百時間もプレイしていました。そのレオンを演じることにとても大きな責任を感じていて、まずは彼の行動を観察しようとゲームでレオンの動作を見て、そこからレオンというキャラクターを作り上げたり、いろいろな要素を組み合わせていきました。あとは脚本からですね。ヨハネス監督なりのレオン像を描いていたので、それを吸収してゲームでのレオンと組み合わせてキャラクターを作り上げました。――それぞれの役が決まったとき、おふたりはどのようなリアクションだったのでしょうか?トム 役が決まったときは、いつものように「さあ、仕事をがんばるか」という軽い感じでした。その後調べてみると『バイオハザード』シリーズという作品が世界的な大人気ゲームであることを知ったんです。僕は1作目をプレイしていたけど、それ以降は触れていなかったので役に抜擢された責任の重さに気づきましたね。ヨハネス監督に「この作品を理解するためにはどうすればいい?」と聞いたら、ゲームをプレイすることだと言われたので、役作りのためにゲームをプレイしたり、動画を見たりして研究しました。でも楽しいよね、仕事のために「ゲームをしなさい」って(笑)。アヴァン そうそう、「さあ仕事だ! そこのソファに座って『バイハザード』をやれ!」みたいにね(笑)。――子どものころ『バイオハザード』というゲームは、どのような存在でしたか?アヴァン 『バイオハザード』は、初めて触れたホラーゲームでした。12~13歳のころ、友だちと集まって夜中の2時にコーヒーやポテトチップスを食べながらビビりまくって遊んでいましたね。プレイしている人だけではなく、見ている人たちとも恐怖や興奮を共有できる貴重な体験ができました。きっとわたしだけではなく、幅広い世代の人たちが同じ体験をしたと思います。『バイオハザード』シリーズは、間違いなくひとつの時代を作り上げた作品のひとつであると思っています。――撮影現場では、ゲームでのシーンや雰囲気などについてもお話したのでしょうか? それとも、ゲームはあまり意識せず映画ならではのものを意識したのでしょうか?トム 現場ではゲームのことをしっかりと意識していました。ヨハネス監督は、カプコンから提供されたゲームのスクリーンショットを、さまざまなシーンで参考として見せていましたね。なので、ゲームを知っている人は、映画を見てニヤリとするシーンがたくさんあると思います。そういうシーンを探すのも楽しみのひとつですが、わたしたちは撮影現場で参考としてゲームのスクリーンショットを見ているので、すべて知っているんですよね。それが損なのか得なのかわかりませんが(笑)。――ちょっと変わった質問かもしれませんが、ウェスカーにとってサングラスとはどのような存在かと思いますか?トム ウェスカーを演じる際、わたしが重要だと思ったのは、サングラスを外した、サングラスの奥にいるウェスカーという人物を理解しようということでした。映画を観ていただければわかりますが、じつはウェスカーはサングラスをしていないんです。しかし、あることをきっかけにサングラスをかけるようになります。サングラスはウェスカーのトレードマークにようなものなので、そこに意味をもたせたかった。なぜ彼がサングラスをかけるようになったのか、そこはぜひ映画を観て知ってほしいですね。――サングラスをかけないウェスカーは、表情がよく見えるため演技が難しそうな印象を受けます。やはり撮影の際は苦労されたのでしょうか?トム 逆に表情が見えることで演技はしやすかったですね。ゲームでのウェスカーは典型的な悪役で、とても硬い人物の印象を受けました。たとえるなら『マトリックス』のスミスのようなキャラクターですよね。だからヨハネス監督には「サングラスをかけた典型的な悪役は演じたくない」と伝えたんです。するとヨハネス監督は賛同してくれて、サングラスを外したウェスカーの人間性を引き出したいと言ってくれました。サングラスを外したことで、ウェスカーは仲間に好かれるような、仲間を笑わせられるような人間性を持つことができました。そしてなぜ仲間を裏切ったのか、なぜそのようなことをしたのかを問い始めるんです。――アヴァンさんは、ヨハネス監督からどのような指示を受けたのですか?アヴァン トムが言ったように、わたしたちはキャラクターに人間味を持たせ、彼らがどうしてこのようなことになったのかを作り上げないといけません。わたしとトムの演じるキャラクターが、この映画の中でもっとも重要な位置づけとなっています。映画の役作りにおいて監督は欠かせない存在ですが、指示というよりは、コラボレーションしてレオンの最悪の初日はどういうものだったのかを考えていきました。共同作業という感じですね。映画を観ていただければ、『バイオ』ファンが納得できるキャラクターでありつつも、映画ならではの変化も受け入れてもらえると思います。――映画では大勢のゾンビと戦っていましたが、撮影で苦労した点を教えてください。トム たいへんだったことは、ゾンビをうまくサポートすることだね。じつはゾンビの人たちは、メイクをしているとなにも見えなくなってしまうんです。アヴァン 彼ら(ゾンビ)がわたしたちに殺されるために、わたしたちがサポートしないとならないんです。たとえば彼らが廊下を走ってきて左に曲がってきたときにショットガンで叩くシーンがあるのですが、実際に当たらないように近づきすぎる前に止まるんだぞ、と伝えても、彼らは見えないんですよ。なので、わたしたちが当たらないように演技しないといけないんです。ゾンビ役の人は、特殊メイクで見えないどころか動くこともままならない状態ですしね。わたしたちはショットガンやハンドガンを撃ち、たまに血がつく程度。だからいちばんたいへんだったのはゾンビ役の人たちだったんじゃないかな。――『バイオハザード』の魅力は、なんだと思いますか?アヴァン 当時はあまり主流ではなかった、ホラーゲームというものを確立させた作品だと思うし、恐怖しながらも楽しさも感じられるところが魅力だと思います。映画は自分の意思とは関係なく恐怖が展開していくけど、ゲームの場合は“あの通路を曲がるべきか”、“ここを進んでいいのだろうか”というように、自分で判断しなければならない。すべての結果は自分の行動しだいで、そこにある恐怖や期待感が『バイオハザード』の醍醐味であり、世代を超える魅力だと思っています。今後もきっと『バイオハザード』シリーズは続いていくことでしょう。――映画では、レオンは仕事の前日に彼女と別れませんでしたし、泥酔もしていません。これはゲームとは異なる設定ですが、これについてどう思いますか?アヴァン 当初はゲームと同じように、彼女にフラれて泥酔する脚本もあったと思います。しかし映画は約2時間という枠の中に収めなければならないため、各キャラクターの細かな背景についてまで描くことができなかったんじゃないでしょうか。映画では、レオンは警察官である父親によってラクーンシティに配属されるのですが、彼女にフラれて泥酔するより、ラクーンシティへ来ることになった経緯を語るほうが重要ですしね。レオンの父親が警察官であることにより、ストーリーの導入部分がわかりやすくなるんです。このときレオンは、小さな町の警察署でデスクワークをしながら人生を送ると思っていたんでしょうね。いずれは特殊部隊に入り大統領の娘の警備につくことになるけど(笑)。――映画の見どころやお気に入りのシーンがあれば、ネタバレにならない程度で教えてください。トム お気に入りのシーンは、ゲームでも象徴的なシーンになっている、大勢で洋館に入って目の前に階段があるところかな。チーム全員が揃っていたから、あそこはよかったね。アヴァン 警察署のロビーにゲームではセーブに使っていたタイプライターがあったりなど、ファンだったら発見してうれしくなるような、さりげない仕掛けや演出が多く用意されていました。それらを発見する瞬間がいちばん印象に残っていますね。――映画を観終わった後は、とても続編を観たくなりました。おふたりは役を継続することについて、どう思っていますか?アヴァン トムはどう? もっとゾンビと戦う?(笑)トム いいね、やりたいね(笑)。今回はスタッフ全員が、ゲームに忠実に、かつ納得いくまでやろうという情熱があって完成した作品でした。新しいことをするのではなく、あくまでゲームに忠実に、地に足がついたような感じの世界観だったら、ぜひ続編もやってみたいですね。キャラクターの深みもさらに出していきたいし、ウェスカーが、この世界でどのようになるのかをわたし自身も知りたいと思っています。アヴァン そうだね。キャストもクリエイティブチームもすばらしかった。映画撮影では、毎回これほどすばらしい体験ができるわけではないので、今回のような素敵な人たちとまた仕事をしたいね。それがいちばんのモチベーションになります。トム うん。いっしょに働いていて気持ちがいい人たちだった。アヴァン とてもいい体験をできたし楽しかったですね。――これまで、まだ経験していないやりたいことはありますか?アヴァン トムはどうだい? ミュージカルにも出る?(笑)トム ウェストエンドとブロードウェイのミュージカルね(笑)。わたしはいつも新しい挑戦を求めているので、ジャンルにこだわりはないですね。重要なのはジャンルではなくキャラクターだと思っているんです。でも、いまの時代はいいですよね。オリジナルですばらしい物語がたくさんある。たとえば『アンブレラ・アカデミー』(※)は聞いたことなかったけど、スーパーヒーローのコンセプトが斬新で、すごく興味を惹かれました。スーパーヒーローものでは新しい形のアプローチで、ユーモアもあって観ていて楽しい。そういう意味では『バイオハザード』も非常に魅力的な作品でした。この仕事は、つぎにどのキャラクターを演じるのか予想がつきません。そこが逆にワクワクするんですよね。※ダークホースコミックスが発行した『The Umbrella Academy』が原作で、スティーヴ・ブラックマンが制作したNetflixのドラマ。アヴァン 今年は自分で書いた脚本を映画監督として制作しましたが、本を執筆するなどクリエイティブなことをいろいろとやっています。メディアを問わず興味があることには積極的に挑戦していて、それを続けられることがうれしいですね。――続編を作るとしたら、どの作品の『バイオハザード』に出演したいですか?アヴァン 『バイオハザード』にはゲームや映画など無限の物語がありますが、個人的には『バイオハザード4』かな。場所が好きなんですよね。ヨーロッパの不思議な町でプラーガや僧侶がいるなど、とてもクールな世界観です。でも『バイオハザード4』以外の作品もすばらしいので、映画として作れるならどれでもやりたいかな。――キャストやスタッフが素敵な人たちばかりと伺いましたが、オフカメラでのおもしろいハプニングなどはありましたか?アヴァン 素敵な人の話は聞いたから、嫌いな人の話をしてくれと言われるかと思ったよ(笑)。オフカメラでおもしろい話と言えば、わたしと同じカナダ人で親友のロビーは、フットボールを思いっきりわたしの目に当てたよ(笑)。トム テイク中にね。アヴァン そうそう。撮影のテイク中。警察署でみんながチーフからの命令を受けているシーンで、そそくさと中に入って叱られ、またそそくさと出ていくシーンがあるんだけど、ロビー(クリス役)がフットボールを投げたんだよね。ガチで投げてきて、それが目に命中した。子どものころにサッカーをやっていたんだけど、キックされた濡れたボールが顔面にモロに当たったことがあったんだけど、今回のフットボールは、それと同じくらい酷かった。トム わたしも見てたけど、あんな球が顔面に当たっても平気で立っていたことに驚いたよ。アヴァンの顔の硬さはハンパないと断言できるね(笑)。あのテイクは使うべきだった。アヴァン そうだよね。なぜ使わなかったのかわからないよ。当たったとき、みんな「OH!」みたいな感じだったからかな? みんなヤバイ! と思ったんだろうね。――映画で演じたキャラクターが、ゲームでの設定と異なるところを教えてくださいアヴァン 二日酔いの新米警官じゃないことかな。あと警察官としてトレーニングを受けていないところだね。ゲームのキャラクターではないけど、演じるキャラクターが自分自身と重なる部分はありました。正しいことをやりたいという気持ちと、ゾンビに襲われることに対して、やや興奮気味になってしまうところかな(笑)。トム サングラス以外で言えば、ウェスカーは生き生きしてるし、ちょっと間抜けなところがあるところかな。でもいざとなったらゲーム中のウェスカーのように、与えられたミッションに対しては忠実にこなし、だれも彼を阻むことはできなくなると思います。 監督と各キャストが熱く語った『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、まもなく(2022年1月28日(金))公開だ。ぜひ、映画館に足を運んで観てほしい。
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