勾留中の米ポルノ俳優、ロン・ジェレミー被告が、延び延びになっている連続レイプ事件の公判で、ついに来年2月に陪審員と対面することになった。現地時間12日に判事が申し渡しを行なった。
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口ひげを生やしたポルノ業界の重鎮は、車いすに運ばれてカリフォルニア州ロサンゼルス中心地の裁判所に出廷。手錠をはめられた両手首は膝の上に置かれ、トレードマークの長髪は真っ白になっていた。
ジョージ・ロメリ判事は、来るべき公判が4~6週間にわたるだろうと述べた。公判が「2月後半」から開始されることを踏まえた上で、判事は次回出廷日を2022年1月6日とすることに同意するか、とジェレミー被告に尋ねた。
「はい」というジェレミー被告。午前中の審問で彼が発した言葉はこの一言だけだった。
すぐさま傍聴席から1人の女性が立ち上がり、判事に呼びかけた。
「裁判長、審問がたびたび延期される中、被告を勾留したままなのは非人道的です」と、その女性は被告弁護士のスチュワート・ゴールドファーブ氏に言及してこう言った。
「どなたですか? 被告とはどんなご関係ですか?」と判事が訪ねた。
「彼は10年来の友人です」。ジェレミーこと本名ロナルド・ジェレミー・ハイアット被告について、女性はこう答えた。
「あなたには非人道的と思われるかもしれませんが」とロメリ判事。「問題は、弁護人が有効な助言をするためにも、被告は自分に不利なあらゆる証拠を把握しておかなくてはならないのです。訴因は1件だけではありません。膨大です。友人としてハイアット氏の身を案じるのは結構ですが、被告の弁護士はあなたではありません」
車いすを押されて退廷する際、ジェレミー被告は女性に向かってウインクした。ローリングストーン誌が名前を尋ねたが、女性は本名を明かさなかった。
8月25日に突如行なわれた罪状認否で、68歳のジェレミー被告は数十件の強姦罪を含む34件の性的暴行罪で無罪を主張した。それ以前に告訴された刑事裁判で、ロサンゼルス郡大陪審が非公開で訴追してから1週間後のことだった。
訴追内容には15~51歳の21人の被害者と、1996年に遡る加害者の犯行パターンが盛り込まれている。
犯行現場は従業員トイレ
被害者はみな大陪審で証言した。ローリングストーン誌が入手した審理記録によれば、毛深い容貌から「はりねずみ」の愛称で呼ばれていたジェレミー被告が、ポップカルチャーの著名人という地位を利用して被害者の警戒を解いた、とみな口を揃えて語った。
ジェレミー被告は2020年6月に逮捕されて以来勾留されているが、彼はウェスト・ハリウッドのRainbow Bar & Grillの従業員トイレを使えるVIP特権を利用して、他の客から離れた場所へ被害者を誘い出し、狭いスペースに閉じ込めた、と数人の女性が語っている。
看護師で5人の子供を持つ匿名女性2番は、2017年に夫とサンセット大通りにある同施設を訪れた。午前2時ごろ、夫を車に残してトイレを借りようと店に戻った時に、ジェレミー被告と遭遇した。女性いわくジェレミー被告は入り口付近で彼女に話しかけ、サインはいるかと「高圧的に」迫ってきたため、彼女はしぶしぶ胸にサインすることに同意した。
「すると彼は私のトップスを少し下げ、ブラを下ろし、胸に口を押し付け始めました」と、8月にこの女性は証言した。
女性は後ずさりし、正面入口からバーに入店しようとしたところ、もうすぐ閉店だから従業員トイレに行くしかない、俺が案内しよう、とジェレミー被告に言われた。
「トイレに入ると、ロンが後からついてきました」と女性は証言した。彼を誘った覚えはないのですぐに警戒した、とも付け加えた。
ジェレミー被告は女性に「セクシー」「キュート」と呼びかけ、女性を外に出そうとしなかった。
「怖くなりました。彼は私よりも身体が大きかったし、入り口をふさいでいたので恐ろしかった」と、女性は証言した。
女性は自分が「母親」で、家で子供が待っていると言おうとしたが、ジェレミー被告は彼女を無理やりトイレに押し倒したという。
ジェレミー被告は彼女の下着を下ろし、彼女の下半身に性器を押し付けた、とその女性は証言した。「シーッ、大丈夫。全部は入れないよ」と、ジェレミー被告は言った。
「彼は私の背中に手を置いたまま、ずっと抑え込んでいました。私は倒れないよう、手すりにしがみついていました」
最終的にジェレミー被告が力を緩めると、彼女はなんとか被告のほうに向き合った。性器はむき出しのままだったと言う。
「彼は私の手を取って、彼の上にのせて『せめて感触を知ってもらわないと』と言いました。それから――手品ができるとかいうようなことを言いました」
「『ロン・ジェレミー、大きくなれ』と言ってごらん」と、被告は女性に指示した。「さあ。言うんだ、『ロン・ジェレミー、大きくなれ』って。ほら、これを見てみろ」
その女性は帰りたいと言ったが、ジェレミー被告は執拗だったそうだ。
「それから彼は『小さくなれ、ロン・ジェレミー』と言いました。まるで緊張が解けたように、小さくなりました」
ロサンゼルス郡検事局のマレーネ・マルティネス検事補は大陪審での最終弁論で、Rainbow Bar & Grillのトイレをジェレミー被告の「狩場」と呼んだ。
「ジェレミー被告を証言台に立たせるかどうかまだ決めていない」
「被告は(女性たちを)あそこへ閉じ込め、もっとも無防備な場所、他の人たちから離れた場所、自分たちしかいない場所で暴行していました。バーは賑やかで、誰も助けには来れない状態でした」とマルティネス検事補。
ジェレミー被告は2004年6月、カリフォルニア州サンタクララで行われたレイヴパーティで15歳の少女に性的暴行を働いた罪にも問われている。被告は少女を楽屋に招いた後、「クールなものを見たいか」と尋ねた。
「彼は私のおなかに腕を回し、それから少し上に持ち上げて、同時に別の手を私の――私の性器に入れました。私は身動きできませんでした」と、現在30代の被害者女性は大陪審で語った。
「私は彼を引き離そう、押しのけようとしました」と彼女は当時を振り返った。「彼は――私がそうしている間も、私の首に吸い付いていました」
ジェレミー被告は長年ポルノ業界では引っ張りだこで、リアリティ番組『The Surreal Life』や1999年の青春コメティ『デトロイト・ロック・シティ』などに出演し、異業種でも誰もがうらやむ成功を収めていた。
2017年、ローリングストーン誌は十数人の女性に取材。彼女たちの話では、ジェレミー被告は自他ともに認めるもっとも有名なポルノ男優という地位を悪用して、ファンや同業者を追い詰めては性的暴行し、なんのお咎めも受けていなかったそうだ。
ゴールドファーブ弁護士は12日、弁護側の尋問でジェレミー被告を証言台に立たせるかどうかまだ決めていない、と述べた。
「状況次第です。実際問題、もし彼が証言することになれば、一生分の質問が待ち構えていますから」と、同氏はローリングストーン誌に語った。「これらの出来事の多くは10~15年以上前に遡ります。彼は今まで数千人の女性たちと顔を合わせてきました。彼にとっては、15年前の人物を見分けることも困難です」
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