【福田昭のセミコン業界最前線】1mm角に10Gbitを詰め込む超高密度の3D NANDフラッシュ技術 - PC Watch

沿って : Ilikephone / On : 17/10/2022

超高層ビルディングと化した3D NANDフラッシュメモリ

ワード線の積層数が100層を超える超高層3D NANDフラッシュメモリの開発(試作)例。半導体回路技術の国際学会「ISSCC」の発表論文から筆者がまとめた

 3D NANDフラッシュメモリの高層化が止まらない。垂直に連なるセルトランジスタの積層数、あるいはワード線の積層数は最大で、176層に達した。一昨年(2019年)の春には最大で128層だったので、2年間で積層数は1.375倍に増加した。

 3D NANDフラッシュメモリの高層化は、しばしば高層ビルディングにたとえられる。100階建てを超えたのが2019年のことだ。そして今年(2021年)には176階建てに高層化した。来年(2022年)あるいは再来年(2023年)には、200階を超える超高層ビルディングになることが確実視されている。

 高層化よりもすさまじいのが記憶密度(記憶容量/シリコンダイ面積)の向上ペースだ。2021年春に記憶密度は4bit/セル(QLC)方式が13.8Gbit/平方mm、3bit/セル(TLC)方式が10.8Gbit/平方mmに達した。

 過去の最高記録は、QLC方式が8.9Gbit/平方mm(2020年春)、TLC方式が7.8Gbit/平方mm(2019年春)である。それぞれ1.55倍、1.38倍に向上した。わずか1mm角のシリコンに、10Gbitを超えるデータを記憶できるようになった。

 半導体回路技術の国際学会ISSCCで発表されたNANDフラッシュメモリの記憶密度は、2011年から2021年までの10年間で31.4倍に向上した。年率換算だと、1.41倍/年で増え続けたことになる。「2年で約2倍」、「4年で約4倍」という高い伸びを継続してきた。

NANDフラッシュメモリの記憶密度推移(2011年~2021年、線形目盛り)。半導体回路技術の国際学会「ISSCC」の発表論文から筆者がまとめたNANDフラッシュメモリの記憶密度推移(2011年~2021年、対数目盛り)。半導体回路技術の国際学会「ISSCC」の発表論文から筆者がまとめた