COVID-19の流行の波が到来するたびに、PCR検査の提供体制が需要に追いつかず、逼迫する事態がみられている。検査を大規模かつ繰り返し行う代替手段が必要とされるなかで、ウェアラブルデバイスとAI手法が有望なアプローチとして注目される。米プリンストン大学の研究グループ発のアプリ「CovidDeep」は、健康状態に関する質問と、スマートウォッチセンサーからのデータを組み合わせることで、新型コロナウイルス感染を数分以内に予測する機能を謳っている。
IEEE Transactions on Consumer Electronicsには、CovidDeepの開発および検証状況が報告されている。同アプリでは、心拍・皮膚温度・ガルバニック皮膚反応(皮膚の湿気によって皮膚を流れる電流抵抗が小さくなる現象)・血圧・酸素飽和度・症状アンケート(息切れ、咳、発熱など)を統合し、新型コロナウイルス感染の可能性を予測する。チームは、北イタリアでのパイロット試験を経て、98.1%の精度で感染を検出できることを確認している。
CovidDeepの技術は、プリンストン大学の電気コンピュータ工学の教授Niraj Jha氏らが立ち上げた「NeuTigers社」にライセンスアウトされている。その後、フランスにおける大規模試験で検証が行われ、米国とアルジェリアの医療機関では職員に対してCovidDeepの試験導入が行われている。現在はSamsung/Fitbit/Appleのスマートウォッチと互換性を持たせるため、開発が継続されているという。プリンストン大学のインタビューに対し、臨床データ収集を担当したIgnazio Marino氏は「自宅で行われる迅速検査の精度には限界があり、我々の手法は迅速抗原検査よりもはるかに優れている可能性がある」と語った。
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