Microsoftは米国時間5月19日、Internet Explorer(IE)のアプリケーションの提供を2022年6月15日(日本時間16日)に終了することを発表した。現在のIEユーザーの多くは企業や組織だが、IEの今後のサポートスケジュールが確定したことで、早期の対応が求められることになる。このほど日本マイクロソフトの担当者らが、移行対応や支援策などについて説明した。
既にIEは、新機能の追加や既存機能の改善などが行われない実質的なメンテンスの段階にある。Microsoftは、以前からIEを終了する方向性を明確に打ち出し、IEの後継としてWindows 10から同社の標準ブラウザーを「Edge」としている。そのEdgeも現在はGoogle Chromeなどと同じChromiumベースに変更(Chromium版Edge)になっており、現在のウェブ標準の環境に対応したユーザー体験を提供するようになった。
IEが今なお利用されるのは、主に企業や組織で長らく使い続けられているIEでの利用を前提にした古い業務アプリケーションや帳票類などだ。Microsoft 365製品チーム プログラム マネージャー リードの范慧儀氏によれば、IEのサポート終了の発表を受けて同社に寄せられる移行対応に関する相談は、世界の中で日本が多い状況にあるものの、それでも特に混乱は見られないといい、企業や組織での対応が相当に進んでいる状況にあるとする。
実質的なIEユーザーが少ないとはいえ、そのまま放置すれば、サポート終了後にビジネスや業務への影響が生じる可能性はゼロではない。このため同社は、Edgeに搭載している「IEモード」の活用や互換性の確保、アプリケーション改修などの複数の支援策を提供している。
IEの終了スケジュール
具体的なIEのサポートスケジュールは、まず2022年6月15日に提供を終了する対象がIE 11およびWindows 10 20H2以降のデスクトップSKUになる(Windows 10 Pro、Enterprise、EducationのWindowsサンドボックスにおけるIEも対象)。この時点以降もWindows 10 LTSCやWindows ServerなどのIEのサポートは継続されるが、製品のライフサイクルスケジュールに準じて段階的にIEのサポートが終了される。
Internet Explorer(IE)のアプリケーションの提供が2022年6月15日(日本時間16日)に終了するIEモードや長期利用向けの一部製品などのIEはサポートが継続する
2021年6月上旬時点で同社は、少なくとも2029年にIEモードのサポートを終了するとしており、2029年がIEの最後になりそうだ。ユーザーの移行対応の状況次第でこのスケジュールが今後変更される可能性がゼロではないものの、現在でも移行がある程度進んでいる状況のため、ここまま予定通りにサポートが完全終了していく可能性が高いだろう。
IEモードのサポートは、最長でもWindows 10 IoT 2019 LTSCとWindows Server IoT 2019、Windows Server 2019 LTSCのサポートが終了する2029年1月9日までになる
Microsoft 365ビジネス本部 製品マーケティング部長の岡寛美氏は、最長で2029年までIEモードをサポートし、各製品でのサポート終了日の1年前に通知を行うとした上で、期限を待つことなく早期に対応してほしいと呼びかける。
基本的な対応は、まず2022年6月15日のサポート終了では、個人ユーザーや企業・組織ユーザーがIE 11以外のサポートされているウェブブラウザー(EdgeやChromeなど)に変更を行う。サービス事業者などは、対象ブラウザーからIE 11を外す。これ以降、個人ユーザーについては、IEのみで閲覧していたウェブサイトへのアクセスをEdgeのIEモードで行うようにする。
企業・組織ユーザーは、IEでのみ動作するウェブサイトやウェブアプリケーションについて、現在のウェブ標準に準拠させる改修を行うか、あるいは動作条件をIEモード前提に変更するか、その場合にIEモードでも従前の動作が可能かどうかを検証することになる。サービス事業者も同様であり、提供するサービスを現在のウェブ標準に準拠させる改修を行うか、IEモードの利用を前提にした検証などを行うことになるという。
IEのサポート終了による影響と基本的な対応
Microsoft 365ビジネス本部 製品マーケティング部 プロダクトマーケティング マネージャーの春日井良隆氏は、基本的にウェブブラウザーを1本化することでユーザーの使い勝手が向上し、Edgeの機能であれば、ユーザーに現代のウェブ体験を提供できるとする。その上で、IEしか利用できないアプリケーションやサービスは、IEモードを使用しつつ、各OS製品のサポート終了日までにウェブ標準に準拠した仕様への改修を検討してほしいとしている。