「The Absurd and The Sublime ギイ ブルダン展」(C)CHANEL
音楽・舞台・美術など幅広いジャンルのプロジェクトを手がけてきたプロデューサーの立川直樹さん。新たな感動を求め、西へ東へ旅する中で出会った良質なエンタテインメントをご紹介いただきます。(ぴあアプリ「立川直樹の エンタテインメント探偵」より転載)【全ての画像】「立川直樹の エンタテインメント探偵」第76回
レコード・コンサート、ギイ ブルダンの写真展、京都国際写真祭と京都国際映画祭で京都へ、奥能登国際芸術祭で富山まで足を伸ばし、沖縄でジャズライブ…。本当にこの1カ月は、たくさんのものを見た。
10月4日に立川のCINEMA CITYで映画『BILLIE ビリー』の公開に合わせて開催された劇場でのレコード・コンサートは思っていた以上に素晴らしいものになった。このところすっかりコンビのようになっているピーター・バラカンとビリー・ホリデイの好きなアルバムを持ち寄り、会話をしながらかけていくというスタイル。劇場に天国からビリーが降臨してきて歌っているような感覚を味わえ、そのマジカルな情況にみんながびっくりしたが、10月23日と24日の2日間、大阪・守口のイベントスペース’’TOMO~NI''で FM COCOLOのDJ、マーキーと加美幸伸と一緒にトークをしながら、名盤『狂気』と、''忘れられている名盤''といえる『ファイナル・カット』を総額800万円を超えるオーディオ・システムで聴く「Technics Presents Pink Floyd SUPER AUDIO LIVE」でもCINEMA CITY同様、終了後は来場者の多くがマーキーが思わず「これは”オーディオ様”ですよ」と口にしたオーディオ・システムの写真を撮っていた。こういう時に、やはり”生””現物”にかなうものはないことが実感できる。10月15日に銀座のシャネル・ネクサス・ホールで見たギイ ブルダンの写真展「The Absurd and The Sublime(滑稽と崇高)」の素晴らしさに息をのみ、会場に置かれていた「MIROIRS(ミロワール)Manga meets CHANEL」のチラシを見て、京都国際写真祭が行われていることを知り、翌月には京都の”誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵”で、週刊少年ジャンプの人気作品「約束のネバーランド」の原作者・白井カイウ&作画家・出水ぽすかと、シャネルの協業による展覧会を見ることが出来た。描き下ろされたマンガ作品とともに著名な写真家による写真作品などシャネルの貴重な資料も展示されていて、欲と好奇心の大切さを心から感じた。16日と17日は京都国際映画祭で行われた大活弁のイベントと鋤田正義のドキュメンタリー映画『SUKITA』の上映会とトーク・イベント出演のために京都まで行けたのだが、17日終了だった写真祭にはかけ込みで間に合い、二条城での「 ECHO of 2011─2011年から今へエコーする5つの展示」(片桐功敦の《SACRIFICE》 四代田辺竹雲斎の《STAND》が圧巻の素晴らしさ)、琵琶湖流水記念館に設置された中国写真芸術の先駆者である榮榮(ロンロン)と日本人写真家の映里(インリ)が京都の文化的景観の根底に水循環が深く影響していることに着想を受け生まれた新作《即非京都》も絶対にそこでしか見ることができない素晴らしいものだった。京都滞在中には京都dddギャラリーに東京でも見ていたが「石岡瑛子 デザインはサバイブできるか」も見に行ったが、これがまた素晴らしい展示になっていて、会場が変わると見え方も変わると言うおもしろさを体感できた。美術館「えき」KYOTOの「荻須高徳展」も覗いてみた。
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