誰にでも、楽しい作業にとことん没頭した経験があるはずです。
目の前のことに心を奪われて夢中になり、何時間も過ぎていたのに、ほんの数分にしか感じられないような状態です。それが「フロー(flow)」と呼ばれる感覚です。
一般的には、楽しさが得られるのは、受動的で、ストレスを感じず、くつろいだ気分になる行動をやっている時だと考えられているかもしれません。
しかし研究によると、楽しさや興奮がより大きいのは、困難でありながらやりがいがあり、能力やスキルをフルに活かして、価値あることを成し遂げられる行動だということが示されています。
それでは、どうすれば「フロー」状態に入り、生産性を向上、作業中の幸福度を上昇させられるのかについて、ご説明していきましょう。
フロー理論って何?
フローは、ポジティブ心理学の提唱者の1人でもある、心理学者ミハイ・チクセントミハイが開拓した概念です。
チクセントミハイは自著で、フローについて次のように説明しています。
フロー状態は、現代的な言葉だと「ゾーンに入った状態」とも呼ばれます。
この状態になると、自分にとっておもしろくてたまらない行為に完全に熱中し、疲れや退屈さをまったく感じなくなります。むしろ、心が躍り、エネルギーに満ち、その行動に身も心も没頭します。
それは、数学の問題を解いている時かもしれません。最高の音楽を演奏している最中という場合もあるでしょう。どんなことであれ、その行動にすっかり打ち込んで夢中になってしまい、空腹感や眠気、喉の渇き、疲れといった身体的な兆候すら気にならなくなります。
フロー理論では、「その行動の難易度」と「スキルの兼ね合い」がうまく取れていなくてはならない、とされています。
難易度が低く、スキルが高ければ、その行為に取り組もうという気力や関心がわかず、退屈に思え、胸の高鳴りも感じなくなるでしょう。反対に、非常に難易度が高く、その時点ではスキルが追い付かない場合には、不安や焦りを感じてしまう可能性があります。
フローを体験するために必要な条件とは
積極的に取り組まなくてはならない行動ならどんなことでも、その最中にフローを体験することができます。
それだけでなく、その困難をいとわずに、自分が達成したい行動を積極的に受け入れる姿勢も大切です。フローを体験したい時には、取り組む行動に、次のような要素が含まれている必要があります。
大半の人は、余暇というよりはむしろ仕事中にフローを体験することが、研究で明らかになっています。
Apple製デバイスをお使いなら、iOSの「集中モード」を最大限に活かして、特定の作業に取り組む時のための設定をカスタマイズしておくのもいいでしょう。
そうしておけば、ゾーンに入っている間、デバイスは不要な通知をブロックしてくれます。
Androidデバイスをお使いの方なら、「フォーカスモード」を使ってアプリを一時停止し、目の前の作業に集中できるようにしましょう。
難しいことに取り組んでいる最中に気が散らないようにしてくれるアプリや拡張機能もいくつかあります。
どんなタスクやゴールであれ、役に立つオンラインコンテンツがきっと見つかるはずです。オンライン学習プラットフォーム「Coursera」(英語)では、スキルをワンラックアップできるさまざまな講座が、有料と無料で提供されています。
よりニッチで、さらに踏み込んだことを学べるサイトを探してもいいでしょう。
たとえば「eMathZone」(英語)は、数学の達人を目指す人に最適で、基礎から、より高度な応用まで幅広く学ぶことができます。また、「Uplifted Yoga」(英語)は、ヨガのスタイルを磨きたい人や、ヨガコースを受講して継続的に学びたい人におすすめです。
学ぶことに無上の喜びを感じるのなら、学位を取得してはどうでしょうか。「Onlinedegree.com」(英語)は、好みの学習スタイルに応じて教育機関をマッチングしてくれます。無料コースを受講したり、割引を利用したりすることも可能です。
仲間と一緒に、またはグループで同じタスクに取り組むと、難易度もアップし、やる気もより出るかもしれません。
友人と、ゴールや習慣を共有するアプリ「Habit Share」なら、モチベーションを上げられますし、さぼっていないか互いにチェックすることもできます。
リマインダーを設定したり、個別のニーズに応じて習慣をカスタマイズしたりすることも可能です。さらに重要なのは、人と共有したい習慣を選択できることです。
数学の問題を解くことであろうと、新曲をマスターすることであろうと、何でも構いません。大事なのは、具体的なゴールを設定して、フロー状態を実現することです。
ゴールを設定して追跡し、脱線しないように助けてくれるアプリは山のようにあります。目標達成アプリとToDoアプリを組み合わせて、無駄なく目標を達成できる具体的な計画を立ててもいいでしょう。
タスクをうまくこなす際に邪魔になるのは、スキルではなく、自信のなさやマイナス思考である時もあります。
気分をトラッキングしてくれるアプリ「CBT Thought Diary」なら、どんどんネガティブになったり、結論に飛びついたりといった、ありがちなマイナス思考のパターンを突き止めてくれます。そればかりか、マイナス思考のパターンを分析して、克服する手助けもしてくれます。
マイナス思考のパターンに向き合えば、そうした思考に陥りそうになった時に認識できるようになります。その結果、自分にとって大事なタスクへの取り組みや達成を邪魔されなくなるでしょう。
さあ、ゾーンを目指そう
自分に挑戦して、何らかのタスクをやり遂げようとしたり、スキルをマスターしようとしたりすることは、気持ちがくじかれる場合もあると思いますが、心が浮き立つことでもあります。
フローの実現を目指して、できる限りの準備をし、最適な環境を整えましょう。
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Source: ResearchGate, Coursera, eMATHZONE, Brett Larkin Yoga uplifted, ONLINE DEGREE.COM, Habit Share, CBT Thought Diary
Original Article: What Is the Flow Theory? How to Apply It to Improve Your Productivity by MakeUseOf