ネットワークをソフトウェアで制御するSoftware Defined Networking(SDN)
サーバーの仮想化やクラウドの急速な進化などにより、統合管理や運用自動化が進む一方で、ネットワークは従来のハードウェア機器構成で、トラフィックの急速な増減に伴うネットワークの増設や変更、運用の自動化が大きな課題となっており、ネットワークの構成や機能の設定をソフトウェアによってプログラマブルに行える「Software Defined Networking(SDN)」というコンセプトが注目されている。
SDNを実現するOpenFlow
「Software Defined Networking」を実現する代表的な技術として位置づけられているのが「OpenFlow」である。OpenFlowは、2008年ごろからスタンフォード大学を中心に「OpenFlowスイッチングコンソーシアム」が設立され、2011年3月21日には「OpenFlow」などの新世代のネットワーク技術の普及促進を目的に「Open Networking Foundation(ONF)」が設立され、標準仕様の策定が進められている。
ONFには、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、ベライゾン、ドイツテレコム、NTTコミュニケーションズなどのキャリアやクラウド事業者で構成されるボードメンバーと、シスコシステムズ、ヒューレッドパッカード、IBM、NEC、VMwareなど、2013年4月現在では、100社を超える企業が参加をしている。
2013年4月15日から17日までカリフォルニア州サンタクララでONF主催の「Open Networking Summit 2013」が開催され、日本からはNTTコミュニケーションズやNECなどが参加している。
OpenFlowの特徴は、既存のネットワークでは、コントロールプレーンが一体化し1台のネットワーク機器が持つ機能を持っているのに対して、OpenFlowはネットワークの経路制御機能(コントロールプレーン)とパケット転送機能(データプレーン)に分離している点にある。
OpenFlowは、コントロールプレーンの機能とアプリケーションを管理する機能を持つ「OpenFlowコントローラー」、「OpenFlowコントローラー」からの指示に従ってパケットの転送(フォワーディング)の処理を行う「OpenFlowスイッチ」、「OpenFlowコントローラー」と「OpenFlowスイッチ」とを接続する標準インターフェースの「OpenFlowプロトコル」の3つから構成されている。
図:OpenFlow/SDNの構成イメージ
SDN/OpenFlowの登場により、スイッチやルータなどのネットワーク機器は、OSやミドルウェア、アプリケーションが統合された垂直統合型から、各機能レイヤーを分離してオープンなインターフェースでつなぐアーキテクチャーへとシフトしつつある。アプリケーションからマルチベンダー対応でSDN/OpenFlowコントローラを制御できる「Northband API」の実装も進められている。
これにより、ユーザーやベンダーは、独自のアプリケーション追加やメーカごとに異なるプロトコルを持つネットワーク機器を統合管理し、稼働状況や運用にあわせてソフトウェアによる迅速かつ柔軟な構成管理・設定でき、大規模で複雑な構成のネットワークへの対応も可能となる。さらには、ネットワーク構成を意識することなくデータセンター間のライブマイグレーションの対応など、データセンターのリソースの有効活用も可能となる。
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