ロシアによるウクライナ侵攻を受け、英政府は露プーチン大統領に近いロシア人実業家アリシェル・ウスマノフ氏を資産凍結と渡航禁止の制裁対象とした。同氏はすでにEUからも制裁の対象となっていた。これによりプレミアリーグのエバートンが甚大な影響を受ける見込みになった。英デーリーメール電子版が5日に報じた。エバートンは、ウスマノフ氏が英政府からの制裁対象となる直前に、同氏が所有するロシア企業「USMホールディングス」「MegaFon」「Yota」とのスポンサー契約を解除。同氏との関わりを完全に断ち切った。USMホールディングスは金属鉱業、電気通信、メディアなどを中心とした国際複合企業で、MegaFonはその傘下にあるロシアの携帯電話事業者。YotaはMegaFonの子会社だ。3社との契約料合計6000万ポンド(約95億3000万円)のうち、4800万ポンド(約76億2000万円)はすでに支払われていたため、そこまで大きな損害にはならない。だがウスマノフ氏はUSMホールディングスを通じて、エバートンが24-25年シーズンから使用する予定の新スタジアム命名権購入に合意していた。同契約は最長20年、年間最大1500万ポンドをクラブにもたらすはずだった。これがなくなったことにより、エバートンは見込んでいた最大3億ポンド(約476億円)の収入が得られないことになった。デーリーメール電子版によると、クラブは選手補強などの面でプラン再考を余儀なくされるという。またウクライナ情勢により鋼鉄や燃料の価格が上がっており、新スタジアム建設でもコストカットを迫られる。立体パーキング建設は取りやめとなり、建築資材も安いものに変更になる見通しだ。エバートンのオーナーでイラン人実業家のファルハド・モシリ氏もUSMホールディングスの役員だったが、これを辞任。盟友ウスマノフ氏とたもとを分かった。自身の清廉潔白さをアピールする一方で、クラブ運営はますます厳しくなりそうだ。