『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』
2月4日、シリーズ最新作となる『ダイイングライト2 ステイ ヒューマン』(以下、ダイイングライト2)が発売された。本作は2015年に発売された『ダイイングライト』の続編。本シリーズは一人称視点のゾンビ・サバイバルアクションゲームで、とくにパルクールによりオープンワールドでダイナミックなアクションが行なえる点が特徴。人をゾンビ化する「ハランウイルス」が蔓延した悪夢の都市を、流浪人としてパルクールでサバイバルしていくことになる。
ゾンビ世界でパルクール!? 意外と納得の世界観
重力を感じる迫真のパルクール
『ダイイングライト2』独自の魅力に迫る前に、まずはシリーズの魅力を語らせていただきたい。繰り返すが、本作の特徴はなんといってもパルクール・アクションにある。本作をプレイすると、ゾンビコンテンツにもっとパルクールを取り入れればいいのにと感じるほどだ。
とはいえ、かくいう私もかつてはこのゾンビ×パルクールの組み合わせに疑問を覚えていた1人だ。一般的なゾンビのイメージを思い浮かべてみると、「遅い」「しぶとい」「死なない」と、こんな感じだろうか。また、映画のヒーローのような主人公であれば、銃を頭で撃ち抜いて生き延びることもできるだろう。
しかし、ゾンビパンデミックが日常と化した世界で、いち民間人が毎日銃と弾薬を確保していけるだろうか? 弾丸を命中させることはできるだろう? あるいは、1匹のゾンビが十数発の発砲を受けても死なないとしたら?……もうお分かりだろう。ゾンビというリスクに毎日向き合う世界では、体1つでゾンビを翻弄できるパルクールこそが、もっとも合理的なサバイバル技術なのだ。
単体のゾンビは脅威ではない。しかし何度も立ち上がり、次第にほかのゾンビたちがプレイヤーを追い詰める
資源の回収や人助けは、ゾンビ(感染者)と接近するリスクをともなう。プレイヤーに気づいた感染者は、追跡を開始する。そこで、身の危険を感じたら町並みのあらゆる構造に気を配ってみよう。乗用車、トラック、街灯。壁の小さな突起1つに至るまで、プレイヤーは手をかけ、登ることができる。
プレイヤーは少しづつさまざまなパルクールスキルをアンロックすることができるが、基本動作となる高度の確保は、感染者から身を守るうえでもっとも基本となる要素といえる。筋力に劣る感染者は登るスピードが遅く、大きなジャンプを要求される段差を越えてしまえば、ほとんどの感染者の追跡を振り切れるからだ。
高所から街を見下ろし、じっくりと次の作戦を練ろう。もっとも、操作が気持ちいいのでついつい考えなしに行動してしまうのだが……。次第に動きながら考えられるようになるだろう。
画面の出っ張りは何でも掴める納得感。ルートを考えてパルクールしよう
資源の回収が快感! 充実のスカベンジャーライフ
サバイバーセンスでアイテムがたくさん表示されると、それだけでうれしくなる
荒廃した都市を舞台としたオープンワールドゲームで、スクラップなどの物資リソースを拾い集めるのは今やお馴染みの要素。しかし、筆者はこの要素がこれまであまり好きではなかった。何故かというと、資源の用途が序盤でしか有用ではなかったり、クエスト報酬として入手したほうが効率がいい、というゲームばかりを遊んできたからだ。
しかし『ダイイングライト2』は違った。20時間ほど遊んだ現在でも、ゲーム開始時から入手できた「スクラップ」がいくらでもほしいと思っている。どうして、長期的にプレイヤーキャラが成長する本作のボリュームでこれが成立するのか。
インフレしすぎず、デフレしすぎない絶妙な調整
なぜなら、アイテムクラフト、製作要素の仕様が絶妙だからだ。簡単に説明しよう。例えば、一定範囲を火の海にする「火炎瓶」。これをクラフトするためにはスクラップ・ボロ切れ・酒が必要なのだが、必要とされるアイテムはずっと変わることがない。では序盤から終盤まで火炎瓶の強さが一緒かというと、そうではない。
感染者からドロップする「討伐の証」というアイテムで設計図をアップグレードすることで、プレイヤーは強い火炎瓶を作ることが可能になる。クラフトに必要なアイテムは同じだが、完成するアイテムの質は違うということだ。これにより、やり込んでいる人と初めたばかりの人が同時にマルチプレイをしたときでも、資源の探索は同じように楽しめる。
近距離の資源を分かりやすく表示してくれる「サバイバーセンス」を使用したときに、資源がたくさん表示されるととてもうれしい。やり込めるゲームでリソースを漁るとき特有の、謎の脳内麻薬が出る。これがオンラインで共有できるのだからたまらない。