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左からfēnix 7S、fēnix 7、fēnix 7X
ガーミンがフラッグシップGPSスマートウォッチ「fēnix 7」(フェニックスセブン)を発表した。機能やサイズで「fēnix 7X」「fēnix 7」「fēnix 7S」と3シリーズに別れ、合計13モデルがラインナップ。1月20日に発売され、価格も93,500円~170,500円と幅広い。本稿では前モデル「fēnix 6」シリーズから進化したポイントを中心に解説する。
「fēnix」シリーズは、ガーミンのGPSスマートウォッチのフラッグシップに位置づけられる一方、プロのアスリートや純粋なアウトドア向けのシリーズとは異なり、普段は仕事をこなしながら本格的なアクティビティやトレーニングも行なうという"ビジネスアスリート"と呼ぶ層をターゲットにしたシリーズ。最先端の技術や素材を搭載しながら、ビジネスシーンでも着用できるよう、革バンドやメタルバンドも用意している。
fēnix 7X、ケース径51mmと大型メタルブレスレットもラインナップfēnix 7、ケース径47mmfēnix 7S、ケース径42mm
新シリーズ「fēnix 7」の進化ポイントは主に4つ。
1つ目はソーラー発電の仕様で、延長できる稼働時間が約2倍に向上した。
2つ目はGPSの測位機能で、2つの周波数帯を受信できるモードを搭載、精度と速度を高めた。
3つ目はタッチ操作が可能なディスプレイにしたことで、オン・オフの設定も可能。
4つ目は搭載地図で、プリインストールされる地図の種類を変更した上で、追加の地図はWi-Fi経由で直接ダウンロードが可能になった。
fēnix 7の新機能(同時発表のepixシリーズを含む)fēnix 6からの進化ポイント(同時発表のepixシリーズを含む)fēnix 7/epixの比較表fēnix 7全体のラインナップ
最大の特徴は、ソーラー発電を強化し、延長できる時間を大幅に伸ばしたこと。従来同様にfēnix 7においてもソーラー発電ですべての電力消費量をまかなうことはできないが、予め充電したバッテリーの稼働時間を延長できる機能としてソーラー発電が搭載されている。
fēnix 7には新しいソーラー発電パネルが搭載される。前シリーズのfēnix 6のソーラー発電モデルは、ディスプレイの外周(ベゼルの内側)にリング状のソーラーパネルを搭載してバッテリー稼働時間を延長させる「デュアルパワー」だったが、新モデルは、リング状のソーラーパネルに加えて、サファイアガラスの内側全体もシースルーソーラーパネルで覆う仕様になった。これを「パワーサファイアガラス」あるいは「サファイア デュアルパワー」と呼んでいる。発電効率自体はリング状のソーラーパネルの方が高効率であるものの、ガラス面全体にシースルーソーラーパネルも加えることで、発電量を大幅に増加、稼働時間を大きく延長可能にしている。
fēnix 7Xfēnix 7の稼働時間(同時発表のepixシリーズを含む)fēnix 7の稼働時間、fēnix 6との比較
ガーミンのルーツでもあるGPS機能は、ガーミン製品として初めて「GNSSマルチバンド」に対応した(サファイア デュアルパワー対応モデルのみ)。これは、「マルチGNSS」としてGPS、GLONASS、GALILEO、みちびき(補完信号)という複数の測位衛星をサポートすることに加えて、L1およびL5周波数帯の2つの周波数帯をサポートするというもの。パフォーマンスを低下させる信号を効果的に識別・排除することで、高い精度と高速な測位を実現する。特に渓谷や都市部のビルの谷間など、従来は測位の精度が低下する環境で大きな効果を発揮。都市部でビルの間を走るような移動の軌跡も、正確に記録できるようになるとしている。
マルチGNSSとGNSSマルチバンドに対応、早く正確な測位が可能になる
ディスプレイは、Vivoシリーズなどで対応していたタッチ操作機能をfēnixシリーズで初めて搭載する。アクティビティやトレーニング中は、より確実に操作できるボタンが好まれる傾向は変わらず、fēnix 7でも左側面に3つ、右側面に2つ、合計5つのボタンを搭載している。一方、普段使いやデータの記録・管理などのシーンでは、タッチ操作でより軽快に操作できるようになる。タッチ操作自体はオン・オフが可能で、好みに応じて選べる。
標準搭載される地図は、「日本詳細地形図」(Japan DKG map)。国土地理院承認済みの等高線入りの地形図データで、市街地向けに詳細道路情報も記載される。このほか標準搭載されるのは、世界の2,000カ所のスキー場とゲレンデの難易度評価を確認できる「スキーマップ」と、世界42,000カ所のゴルフコースをフルカラーで表示する「ゴルフマップ」。
海外の地図は、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア・ニュージーランド、アフリカなど、11大陸の世界地図を無料でダウンロードできる。PCなどを経由することなく、本機に搭載のWi-Fiを使って直接ダウンロードが可能。ただしデータは大きいため、ダウンロードに時間がかかる点には留意する必要がある。またモデルによりストレージサイズが異なるため、複数の地図をダウンロードできない場合は削除するなどの調整が必要。
有料の地図は、ダウンロード版として「日本詳細道路地図」(City Navigator Plus)、「日本登山地形図」(TOPO10M)が用意される。価格は14,000円~。
裏蓋に搭載される光学式のセンサーは第4世代に進化。従来の4つのセンサーから6つのセンサーに強化されており、より高精度に計測できるようになっている。
センサーが6つになった第4世代の光学式心拍センサー
またランナーやサイクリストに向けて、新たな機能「リアルタイムスタミナ」表示を提供する。これは、普段のトレーニングでデータを蓄積し推定されたユーザーのスタミナ量をもとに、スタミナを“使い切って”ゴールできるよう、ペース配分などを表示する機能。心拍数やVO2MAXなど複数の項目から算出され、現在のペースでどれぐらい走れるかや、潜在的なスタミナ残量がリアルタイムに表示される。
全角カタカナ、7Xにランナー向け発光機能
このほか細かな点では、ベゼルとラグ表面を一体化させた金属パーツを使用し、ビスをラグ上に移すことで、ベゼルはスッキリとしたデザインになった。計測開始に使うボタンにはガードも着けている。
ユーザーインターフェースは、これまで半角だったカタカナが全角になった。
fēnix 7Xのみ、懐中電灯のように使えるLEDライトが搭載される。キャンプなどの夜間に利用できるほか、モールス信号のSOS点滅パターンを搭載。目に優しいという赤色光モードも備えている。このLEDライトには夜間のランニング向けの発光機能も用意。ランニング中、腕を前に振ると白に、後ろに振ると赤に点灯するという機能で、ランナーの向きを周囲が識別できるようになっている。
fēnix 7Xのみに搭載されるLEDライト