eKYC(イーケーワイシー、オンラインでの本人認証)のメリット・デメリット。手間も時間もかからない本人確認を解説 - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

沿って : Ilikephone / On : 04/10/2022

携帯電話の契約やサービスの利用を始めるときに、ユーザーの安全を守るため欠かせないのが「本人確認」です。最近では、スマホで書類と顔を撮影するだけで本人確認が済んでしまう機会も増えてきていますよね。

これは「eKYC(イー・ケイワイシー)」と呼ばれ、ここ数年で急速に広がっているオンラインでの本人確認の方法なんです。少し専門的で難しそうに感じるかもしれませんが、ご安心を! この記事ではeKYCの利用シーンやメリット、セキュリティ面などの注意点を分かりやすく解説していきます。

株式会社TRUSTDOCK 取締役。一般社団法人Fintech協会理事。一般社団法人日本ブロックチェーン協会アドバイザー。2001年、株式会社ガイアックスに入社。エンジニア組織のマネジメントに従事。2019年執行役(技術担当)退任。 2017年11月に株式会社TRUSTDOCKを立ち上げ、ガイアックスからカーブアウトし取締役(現職)。本人確認(KYC/e-KYC)サービス提供。 2016年経済産業省検討会委員、2017年総務省検討会委員など。

株式会社TRUSTDOCK

本人確認の最前線。今、こんなシーンが増えています

eKYCが何かを詳しく説明する前に、まずは日常生活の中でオンラインでの本人確認が利用されているシーンについて見ていきましょう。

例えば、携帯電話などの通信契約を結ぶとき。ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMO(ラインモ)では、申込時に「SIMカード」と「eSIM」を選択できます。eSIMを希望する場合は、本人確認をオンラインで行うことになります。

最近では、モバイル送金・決済サービスを銀行口座と紐付けることにより、さらに多くの機能を利用できるようになりました。

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例えば「PayPay(ペイペイ)」では、オンライン本人確認を行うことで、銀行口座などへの出金が可能な「PayPayマネー」を利用できるようになります。詳しくはこちらをご覧ください。

このほかにも、銀行口座の開設やクレジットカードの発行、フリマやオークションの登録、マッチングアプリ登録などのシーンでも、オンラインでの本人確認が広がっています。

「法規制上は本人確認が必要とされていないシェアリングエコノミーサービスでも、トラブル防止・抑止の観点から、事業者が自主的に本人確認を行うケースが増えています。また、クラウドソーシングなどのビジネスマッチングでも、取引相手が何者なのかを把握したり、反社会的勢力かどうかのチェックを行うため、eKYCを導入するケースが多いですね」

いかがでしたか? eKYCという言葉を知らなかった人も「これ、もうやったことある!」と感じたシーンがあったかもしれません。つまりeKYCとは、「本人確認が簡単になることで、すぐにサービスを使い始められる」ようになる仕組みなんです。

通信やITサービスの調査機関であるMMD研究所が2021年8月に実施した「オンライン本人確認(eKYC)に関する利用動向調査」によると、全体の67.6%が「eKYCを全く知らない」と回答。この結果から、eKYCの認知度・利用状況にはまだ伸びしろがあることがわかります。

その一方で、MMD研究所とTRUSTDOCKが2021年7月に実施した同名の調査では、eKYC利用者のうち85.2%が「対応していたら積極的に利用したい」もしくは「その都度、判断する」と回答。理由としては、「ネット上で完結できたから」という点への評価が目立ちました。

1分で分かる「eKYC」解説

ここまで、オンラインでの本人確認が使われているシーンについてご紹介しましたが、改めてeKYCとはどのようなサービスなのでしょうか?

もともと本人確認手続きが必要なシーンでは、総称として「KYC(Know Your Customer)」という言葉が使われていました。書類によって名前や住所、生年月日、性別などの個人情報を確認する「身元確認」や、その時その場所で作業している人が本人か確認するための「当人認証」がこれにあたります。

本人確認手続きは、なりすましなどの不正契約による犯罪を抑制するためにも必要なもの。しかし、これまでのKYCでは、身分証明書のコピーを郵送で送るといった手続きが一般的で、申し込みから実際にサービスの利用を開始できるまでに、数日から数週間かかることも……。

そこで登場したのが、オンラインで本人確認ができる「eKYC(electronic Know Your Customer)」です。2018年11月に「犯罪収益移転防止法」※が改正されたことによって事業者が導入を始めました。

金融機関等をはじめとする特定事業者が、取引相手である顧客(企業、消費者)を把握して、不正取引を防止するための規制を定めた法律。非対面の場合、これまでは書類の郵送が必要でしたが、2018 年11 月に施行規則が改正・施行され、オンラインでの本人確認ができるようになりました。

eKYCには、大きく分けて「ブラウザ型」と「アプリ型」があります。「ブラウザ型」は、企業のWebサイトなどにアクセスし、ブラウザ上で本人確認手続きを進める方法。「アプリ型」は、専用のアプリをダウンロードしてアプリ側で本人確認を行う方法で、スマホやタブレットなどで簡単に手続きを進められます。

さらに、eKYCの本人確認方法にも、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは「セルフィーアップロード型」といって、顔写真付きの本人確認証と本人の写真を同時にスマートフォンで撮影し、アップロードして本人確認を実施する手法です。もう1つは「フェデレーション型」といって、携帯電話会社や銀行などが過去に本人確認した情報を提供してもらい本人確認を行う手法。

本人確認手続きの際、主に撮影が必要となるのは、

の2つ。

「セルフィーアップロード型」の場合、本人確認書類は、表・裏面・厚みの3点の撮影を求められることが多いでしょう。なりすまし防止のため、事前に撮影した画像は使用できず、事業者が提供するアプリケーションを使って撮影することが条件となっています。

「セルフィーアップロード型」の本人確認の一例(「PayPay」の場合)