新型コロナウイルスの感染拡大はいまだ収束のめどがたたず、210を超える国・地域で感染が報告されています。
4月29日のロイターの集計によれば、新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で1億4,967万人を超え、死者は329万675人にのぼっています。
ワクチン接種が進み、国内の規制緩和に動く国・地域がある一方で、感染が急増し規制が強化される国・地域も少なくありません。
またインドやブラジルでの変異株の感染拡大を懸念して、渡航を禁じる国が増えるなか、一部の国ではトラベルバブルも開始されています。
この記事では、4月1日から4月30日ごろまでの世界各国の動きについてまとめてご紹介します。
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【北・南米】アメリカでワクチン接種進む、カナダやブラジルでは感染拡大が深刻に【オセアニア】「オーストラリア・ニュージーランド」間のトラベルバブル実現、インドからの渡航禁止も【ヨーロッパ】イギリスがインドからの入国禁止、ロックダウンは緩和も【中東】ドバイ万博でコロナワクチン提供、トルコでロックダウン【アフリカ】南アでワクチン接種進む、モロッコは入国禁止措置を拡大【WHO】世界新規感染が最悪に【その他】IATA、ワクチン接種証明パスの運用開始【アジア】インドで感染急拡大、「台湾・パラオ」、「シンガポール・香港」のトラベルバブル開始
アジア圏の新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
インドでの新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴って、南アジアからの移民が多い湾岸協力会議(GCC)諸国は、相次いで南アジアからの入国規制を強化しました。
一方で国際通貨基金(IMF)は4月6日、アジアの新興・途上国・地域の2021年の実質GDP成長率を8.6%とする予測を発表し、1月の前回発表から0.3ポイント引き上げました。
経済成長の見通しを上方修正した理由として、インドなど一部の大国が、ロックダウン緩和後に当初予測より力強く回復していることを挙げています。
日本政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」を4月1日から大阪府と兵庫県、宮城県に適用し、その後東京や埼玉県、千葉県などに10都府県に拡大しました。
さらに4月25日から、東京都、大阪府、京都府、兵庫県の4都府県を対象に緊急事態宣言を発令しました。
4月28日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、緊急事態宣言の発令に理解を示し、東京五輪を安全に成功裏に開催することにコミットしていると述べました。
ワクチン接種の電子証明書発給
4月14日、韓国の疾病管理庁は、新型コロナウイルスワクチンの接種証明に関して、モバイルアプリ「COOV」を利用した電子証明書発行サービスを、4月15日から開始すると発表しました。
これまでは紙媒体の接種証明書を発給していましたが、電子証明書の発行によって変造や偽造を防止し、最小限の個人情報で接種の事実を証明しようとする狙いがあります。
2020年の観光・レジャー消費支出が2割以上減
4月26日、韓国文化観光研究院が発表した報告書によれば、2020年の韓国の観光・レジャー分野の消費支出額は、新型コロナウイルスの影響により20%以上減少しました。
特に外国人の支出額が70%以上落ち込み、業種別では旅行業が最も大きな打撃を受けました。
防疫対策を5月も続行
4月30日、韓国政府は、新型コロナウイルスの防疫対策である「社会的距離の確保」の現行レベルと、直系家族の集まりを除く、5人以上の私的な集まりを禁止する措置を、5月3日から3週間延長すると決定しました。
現行の社会的距離確保のレベルは、首都圏が上から3番目の第2段階、首都圏以外は上から4番目の第1.5段階となっており、感染拡大が続いていることから延長が決まったものです。
5月はこどもの日や父母の日、釈迦誕生日などの祝日があり、感染拡大の恐れがあると説明しました。
中国国家衛生健康委員会の発表によると、4月4日に確認された、中国本土の新型コロナウイルス新規感染者数は32人で、1日あたり感染者数としては、ここ2か月あまりで最多となりました。
うち15人が市中感染で、ミャンマーとの国境に位置する瑞麗市で集団感染が発生している雲南省で確認されました。
4月1日、台湾は到着後の隔離なしで相互往来を認める「トラベルバブル」をパラオと開始しました。
初日には台湾から、団体旅行ツアー第1陣の参加者100人が3泊4日の日程でパラオに出発し、ウィップス大統領を含むパラオの外交使節団23人も同乗しました。
さらに台湾は、シンガポールとのトラベルバブル実現に向けても検討を進めています。
4月27日、食物及衞生局の陳肇始局長は、4月29日以降の防疫対策を発表し、飲食店は深夜2時まで店内飲食を認め、バーも再開も認めるとしました。
4月13日から26日までの新規感染者は、146人と低い水準にありますが、変異株「N501Y」が3件確認され、状況を注視しているとしています。
「疫苗氣泡(Vaccine Bubbles)/ワクチンバブル」と呼ばれる、ワクチン接種などを前提とした各種防疫措置をさらに進め、ワクチン接種を基準として、防疫措置を緩和していく方針です。
シンガポールは5月26日から、香港との間で隔離なしで一般渡航ができる「トラベルバブル」を開始する予定です。
当初2020年11月22日から開始予定だったものが、香港での感染再拡大を受けて中止され、今回は条件を強化して実施する予定です。
またシンガポール政府は4月20日、インドでの新型コロナウイルスの感染再拡大と変異株への懸念を受けて、4月22日から、インドからの渡航者の入国後の隔離期間を、それまでの14日間から21日間に延長すると発表しました。
一方で香港からの渡航者については、入国後の隔離期間を14日間から7日間に短縮するとしました。
4月5日、シンガポールのジャニル・プトゥチアリー上級国務相は、個人が新型コロナウイルスのワクチン接種の有無の証明を簡単にできるようにすると述べました。
またシンガポール民間航空庁(CAAS)は5月1日から、シンガポールへの渡航者を対象として、国際航空運送協会(IATA)が推進する携帯アプリ「トラベルパス」を使い、空港での到着時やチェックイン時に新型コロナウイルスの検査結果を提出できると述べました。
4月6日、北朝鮮が運営するメディア「朝鮮体育」は、同国は新型コロナウイルスの懸念から、東京オリンピックには参加しないとする記事を掲載しました。
1984年のロサンゼルス大会と、続く88年ソウル大会以来、北朝鮮が五輪に参加しないのは初めてのことです。
これを受けて、4月14日、国際オリンピック委員会(IOC)が、バッハ会長自ら北朝鮮を説得するため、北朝鮮の北朝鮮の金日国(キム・イルグク)体育相と電話で協議する日程を決めたことが分かりました。
4月9日、タイ政府は新たな規制措置を発表し、4月10日からバンコクを含む41都県を対象として、パブやバーなどの娯楽施設を14日間閉鎖する措置を講じました。
バンコクの娯楽施設でクラスターが相次いだことや、タイ国内でイギリス型の変異株が発見されたことなどを受けたものです。
また4月19日、タイ政府は「ワクチンパスポート」の導入について発表しました。
国外渡航時にワクチン接種者であることを証明するもので、3月末に概要が公表されていましたが、様式などの運用面の詳細が明らかにされました。
4月25日、在インドのタイ大使館は、5月1日から、インドからタイへの外国人の入国を実質的に禁止することを発表しました。
インドでの新型コロナウイルス感染拡大を受けて、インドの一部富裕層が、避難のためタイへのチャーター便の運航を申請したとの報道があり、タイ国内では懸念が高まっていました。
バングラデシュでは、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しており、4月14日には累計感染者数が70万人を超え、翌15日には死者総数が1万人超となりました。
4月5日から開始されたロックダウンは5月5日まで延長され、4月14日から開始されたすべての国際線の運航停止も5月5日まで延長されています。
3月26日、インドネシア政府は、訪問査証や一時滞在査証などの付与を再開する回状を発行しました。
2021年1月28日から実施されていた、外国人の入国一時停止措置は、2月上旬に一部緩和され、電子査証所持者は入国一時停止措置の対象外とされていました。
電子査証の申請方法なども提示されていましたが、インドネシア国外にいる外国人による査証申請がウェブ上で行えない状態が続いていました。
日系企業各社でも、新規赴任や技術者派遣で待機を余儀なくされていましたが、今回の査証発給再開で問題解消が期待されます。
4月3日、フィリピンのドゥテルテ大統領は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、首都マニラと近隣の複数州で実施しているロックダウンを少なくとも1週間延長しました。
フィリピンの感染者数と死者数は東南アジアで2番目の多さとなっており、医療体制がひっ迫しています。
またフィリピン政府は4月16日、外国人の入国受け入れ停止期間を、4月30日まで延長すると発表しました。
当初、3月22日から4月21日までが期間に設定されていましたが、これを延長したものです。
インドでは新型コロナウイルス感染者数が爆発的に増加しており、4月15日には1日あたりの感染者数が初めて20万人を突破しました。
首都のニューデリーでは、週末の外出禁止措置が取られ、商業施設やジム、飲食店などが閉鎖されます。
またインドの保健・家族福祉省は、4月20日までに、新型コロナウイルスワクチンの接種対象を、5月1日から18歳以上とすると発表しました。
これまで医療従事者や45歳以上の人が対象でしたが、対象の拡大によって、ワクチンの供給不足も懸念されます。
4月23日、モンゴル政府は臨時閣議で、4月10日から発令している外出禁止令を、5月8日午前6時まで延長すると決めました。
モンゴルでは4月から1日あたりの新型コロナウイルス感染者数が500人を超える日が続き、4月8日の臨時閣議で警戒レベルを全国警戒態勢(警戒レベル4 赤)に引き上げていました。
今回の延長措置は、その後も1日あたり感染者数が1,000人を超える日が続いていることから実施されるものです。
またモンゴル政府は3月2日の閣議で、渡航前のワクチン接種を義務付けたうえで、5月1日からボヤントオハー空港の国境検問所から外国人の入国を許可すると決定しました。
4月26日、カザフスタン政府は、国産の新型コロナウイルスワクチン「カズ・ワク」の集団接種を開始しました。
カザフスタン生物安全保障研究所が独自に研究開発した不活化ワクチンで、2~8度で保管できれば特別な保冷設備は不要という特徴があります。
カザフスタンでは2月1日から、医療関係者などを優先してロシア製のワクチン「スプートニクV」の接種が開始され、4月からは一般市民にも接種が行われています。
医療機関のほかショッピングモールに接種会場が設置され、接種は無料で実施されています。
【北・南米】アメリカでワクチン接種進む、カナダやブラジルでは感染拡大が深刻に
北・南米の新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
4月19日、米国務省は、渡航情報を改定し、最も危険とされるレベル4の「渡航してはいけない」を、世界の80%の国に拡大すると発表しました。
アメリカ国内ではワクチン接種が進み、米疾病対策センター(CDC)は4月18日、ワクチンを接種した人の割合が人口の25.4%に達したと明らかにしました。
またCDCは4月27日、ワクチン接種完了者を対象に、屋外でのマスク着用を一部不要とする方針を発表しました。
4月2日には、ワクチン接種者は「低リスク」で旅行できるとの見解も示しており、旅行業界への回復要因となりそうです。
ワクチン接種の進展を受けて、4月29日、ニューヨーク市のデブラシオ市長は、7月1日からニューヨーク市の経済活動を全面再開する計画を発表しました。
ハワイ州政府は、5月11日から、ハワイでワクチンを接種した人を対象に、接種完了15日後から離島間で自由に移動が可能となる「ワクチン・トラベル・プロトコール・プログラム」を開始します。
ワクチンを接種していない人や、接種完了後15日間経っていない人が、カウアイ島、マウイ島、ハワイ島に入島する際は、所定の基準を満たさない場合、10日間の隔離が義務付けられます。
他島からオアフ島に入島する場合には、隔離義務はないものの、ワクチン接種を受けたオアフ島住民にとって、今回の措置は人的交流や経済活動の再開で、大きな前進になると期待されています。
カナダでは新型コロナウイルスの変異株を中心とした感染第3波により、若年層の重症例が目立っています。
オンタリオ州の州都トロントでは、エレメンタリーおよびセカンダリースクールの対面授業を4月7日から18日まで全面的に中止すると発表されました。
またオンタリオ州のフォード首相は、4月8日から4週間にわたって自宅待機命令を発動すると発表し、必需品以外の店舗も閉鎖されます。
4月7日、ブラジルでは、南アフリカを起源とする、感染力の強い変異株が初めて確認されました。
ブラジルでは1日あたりの死者数が4,195人と過去最多を更新し、すでに感染が拡大しているブラジル型の変異株と南ア型が、同時に猛威を振るう可能性が指摘されています。
ブラジルではワクチン接種の遅れも課題となっています。
メキシコでは新型コロナウイルスの感染水準は比較的低く抑えられ、改善傾向が見られています。
ワクチンの接種も進められていますが、4月6日に発表された全国ワクチン接種計画の更新版の内容によると、2020年12月の当初計画より1か月ほど遅れが見られます。
また4月23日、首都のメキシコ市は4月26日から、それまでテレワークのみとしていた民間企業のオフィス部門の操業について、20%の従業員数までの制限で認めると発表しました。
4月26日、チリ政府は、30日までを期限としていた国境封鎖措置を、30日間延長すると発表しました。
チリ居住者は例外的な理由がある場合を除き、国外への渡航は許されず、非居住者の入国も禁止となります。
一方で首都圏州のロックダウンは、1か月ぶりに一部緩和させると発表しました。
4月14日、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、ブエノスアイレス首都圏で4月9日から導入した行動制限措置をさらに厳格化すると発表しました。
ブエノスアイレスの市民や市長はこれに抗議しており、野党系のブエノスアイレス市との対立が深まっています。
【オセアニア】「オーストラリア・ニュージーランド」間のトラベルバブル実現、インドからの渡航禁止も
オセアニアでは、ニュージーランドのアーダーン首相が、4月6日、オーストラリアからの隔離なしでの一般渡航の受け入れを4月19日から開始すると発表しました。
オーストラリアはすでにニュージーランドからの一般渡航に対する隔離義務を撤廃しており、両国間で隔離なしの相互一般渡航を認める「トラブルバブル」が実現することとなりました。
オセアニアの新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
オーストラリアでは、迅速なロックダウンや国境閉鎖などの対応により、感染封じ込めに成功しています。
4月1日には、クイーンズランド州の州都ブリスベンで実施されていたロックダウンが解除されました。
オーストラリアのモリソン首相は4月18日、国境閉鎖の解除を急ぐことはしないと表明しました。
また4月27日、モリソン首相は、インドでの新型コロナウイルス感染者急増を受けて、インドからの直行便を5月15日まで全面的に停止すると発表しました。
4月8日、ニュージーランドのアーダーン首相は、インドでの新型コロナウイルス感染拡大を受け、同国からの渡航者の入国を、4月11日から28日まで約2週間禁止すると発表しました。
同日、空港の検疫では23人の新型コロナウイルス感染者が確認され、うち17人がインドからの渡航者でした。
ニュージーランドは新型コロナウイルス感染の封じ込めにほぼ成功しており、約40日間にわたって市中感染は報告されていません。
【ヨーロッパ】イギリスがインドからの入国禁止、ロックダウンは緩和も
ヨーロッパでは新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せ始め、イタリアで飲食店や映画館などの営業が再開したほか、フランスでも地域ごとに規制を緩和していく方針が示されています。
ヨーロッパの新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
イギリス政府は4月8日、海外渡航を5月17日に再開できるか、5月初旬に判断すると明らかにしました。
感染リスクの度合いで各国を色分けする制度のほか、ワクチンパスポート導入に向けた作業も進めています。
4月12日には、ロックダウンの緩和が第2段階に進み、ロンドンなどでは約4か月ぶりに一般店舗の営業が再開されました。
ワクチン接種も着実に進み、50歳以上へのワクチン接種は、目標としていた4月15日を待たずに完了しました。
一方で4月22日には、インドで最初に見つかった新型コロナウイルス変異株の感染が、イギリスで新たに55件確認されたとして、23日からインドからの渡航を禁止すると決定しました。
4月27日、ポルトガルのレベロ・デ・ソウザ大統領は、同国で発令されている緊急事態宣言を30日で終了すると発表しました。
新型コロナウイルス感染者数が急速に減少していることを理由に挙げましたが、必要になれば躊躇なく新たな緊急事態宣言を発令するとしています。
スペインのバルセロナでは、新型コロナウイルス検査で陰性だった5,000人が、ソーシャルディスタンスを取らずにライブコンサートに参加するという実験が行われました。
2週間後も感染者の急増は見られず、今後、世界中で文化活動を行う際の参考になるとしています。
またスペインは観光シーズンに向けて、6月から観光客の受け入れを再開すべく、EUによるデジタル認証「デジタルグリーンパス」のパイロットテストを5月に実施する予定です。
4月13日、フランスのカステックス首相は、新型コロナウイルスのブラジル型変異株の感染拡大を阻止するため、フランスとブラジル間の全航空便の運航を停止すると発表しました。
ベラン保健相は3月に、フランスにおける新型コロナウイルス感染者の約6%が、より感染力の強いブラジル型と南ア型だったと明らかにしていました。
また4月22日、カステックス首相は、感染第3波は過ぎ去ったとして、5月3日に国内移動制限を解除する一方、午後7時からの外出禁止令は感染収束まで継続すると発表しました。
フランスでは、4月上旬から3度目の全国的なロックダウンが実施されており、これを終了させる第一歩として、4月26日から学校も再開されます。
ドイツでは、新型コロナウイルス感染の第3波封じ込めに苦戦しています。
4月23日、ショルツ財務相は、5月末までの規制解除は見通せないとの考えを明らかにしました。
ドイツではイギリスで発見された変異株が猛威を振るい、ワクチン接種の開始も比較的遅かったという状況があります。
4月11日、オランダ政府は新型コロナウイルス感染拡大抑制のためのロックダウンを、少なくとも4月28日まで継続すると発表しました。
これに先立ち、政府は4月21日からの規制緩和を検討中としていましたが、感染第3波のピークはまだ終息していないとして、複数の病院や科学者らが、早期の封鎖解除に警鐘を鳴らしていました。
4月23日、オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は、3度目となる現行のロックダウンを、5月19日から大幅に緩和すると発表しました。
約300万人が5月中旬までに、1回目のワクチンを接種できる見通しを受け、飲食店や小売店の再開などを認めるものです。
規制緩和にあたって政府は「グリーン・パス」の導入を計画しており、紙またはアプリで陰性証明やワクチン接種証明などが登録され、飲食店などの入場許可に活用されます。
4月14日、スイス連邦参事会(内閣)は、4月19日からの緩和第2段階への移行を発表しました。
当初3月22日からの予定が、感染状況悪化により実施が先送りとなっていましたが、ワクチン接種が進んでいることなどから実施可能と判断されました。
レストランやバーのテラス席の営業が再開され、観客を伴うイベントも人数制限を条件に再開されます。
また4月22日には、夏までに「コロナ証明書」を開発する意向も発表しました。
新型コロナウイルスのワクチンを接種済みであること、検査結果が陰性であることなどを証明し、かつ国際的な互換性を持つものとされています。
イタリア政府は、4月16日付の保健省命令で、入国制限措置の変更を発表しました。
日本は現在、業務上の必要性がある場合などの例外を除き、原則イタリアへの入国は不可となっています。
今回の変更で、例外的に入国する際、入国後の自主隔離期間がこれまでの14日間から10日間に短縮されます。
イタリア政府は、感染者数の減少傾向や、ワクチン接種の進展を受けて、今後徐々に規制を緩和していく方針です。
4月21日、ギリシャのミツォタキス首相は、5月15日に観光客の受け入れが再開できるとの見通しを示しました。
新型コロナウイルス感染が、ワクチン接種の進展を受けて安定の兆候を示してきたためとしつつも、感染は依然高止まりしており、伝統的な帰省旅行シーズンであるイースター(30日から)は旅行すべきでないと言明しました。
4月27日、ベルギーのアレクサンドル・ド・クロー首相は、インド、ブラジル、南アフリカ共和国からの渡航者の入国を、原則禁止とすると発表しました。
新型コロナウイルス変異株の感染拡大を懸念したもので、4月28日以降、ベルギー国籍保持者かベルギー居住者以外で、入国前の14日間に当該国に滞在していた人の入国は、原則禁止となりました。
3月31日、ロシア農業省の連邦動植物検疫監督局は、世界初となる動物用の新型コロナウイルスワクチン「カルニバック・コーブ」を承認したと発表しました。
4月にも量産が始められる予定で、国内の毛皮動物飼育業者のほか、ギリシャやポーランドの業者などからも引き合いがあるということです。
同国製の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」については、4月19日、接種した380万人の診療データを分析した結果、97.6%の有効性が示されたと発表されました。
また4月12日、ロシア政府は、トルコでの感染拡大を理由に、ロシア~トルコ間の航空便運航を、4月15日から6月1日まで原則停止すると発表しました。
一方4月23日には、日本を含む29か国からの入国制限を緩和し、対象国の国籍者や居住者は、自国からの直行便だけでなく、第三国からの航空便によるロシア入国も認められます。
4月14日、ポーランド政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って、各種行動制限を4月25日まで延長すると発表しました。
ポーランドでは医療体制がひっ迫しており、直近2週間の10万人当たりの感染者数は、EU加盟国の中ではハンガリーに次いで2番目の多さとなっています。
入国制限も4月25日まで延長となり、全入国者は、国籍や出発地に関係なく、10日間の自主隔離を義務付けられます。
フィンランドでは新型コロナウイルスの感染状況が改善傾向にあり、規制緩和に向けた動きが続いています。
4月27日、政府は3月1日に発令していた非常事態宣言を解除しました。
感染者数の減少と、ワクチン接種数増加による感染者の重症化リスクの減少を踏まえたものとしています。
4月28日時点で、フィンランドの新型コロナワクチン1回目接種率(人口比)は28.8%に達し、EU27カ国の中ではマルタ、ハンガリーに続いて、3番目の高水準となっています。
EUは域内での新型コロナウイルスワクチン接種を進めており、4月1日、第2四半期に確保予定のワクチンの一部について、ワクチンを最も必要としている5か国に優先的に分配すると合意しました。
4月25日、欧州委員会のワクチン作業部会責任者であるブルトン委員は、EUは7月半ばまでに域内成人の70%にワクチンを接種し集団免疫を達成できるよう、十分にワクチンを増産できるとの自信を示しました。
欧州議会は4月29日、新型コロナウイルスの陰性やワクチン証明を証明する「コロナパスポート」の導入を承認し、夏の旅行シーズンに向けて観光客受け入れ拡大を後押しします。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、ワクチンを接種したアメリカ人は、今夏EU域内に旅行できるとの見方を示しています。
【中東】ドバイ万博でコロナワクチン提供、トルコでロックダウン
中東の新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
4月7日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国のハムダン皇太子は、10月に開幕する国際博覧会(万博)をめぐり、参加する各国政府代表に、新型コロナウイルスワクチン接種機会を提供すると発表しました。
ドバイ万博は、約190か国・地域が参加し2020年に開幕を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響で1年延期され、2022年3月まで実施される予定です。
4月26日、トルコのエルドアン大統領は、新型コロナウイルス感染拡大抑制のため、4月29日から5月17日まで、全国的なロックダウンを実施すると発表しました。
都市間の移動にはすべて当局による承認が必要となり、全学校が閉鎖され授業はオンラインのみで実施されます。
公共交通機関には厳格な定員制限が課され、必要不可欠な買い物や緊急の医療行為を除いて外出が制限されます。
【アフリカ】南アでワクチン接種進む、モロッコは入国禁止措置を拡大
アフリカの新型コロナウイルスに関する動向を紹介します。
4月16日、南アフリカ共和国のズウェリ・ムキゼ保健相は、60歳以上の国民への新型コロナワクチン投与のオンライン登録サイト「ワクチン電子データシステム(EVDS)」の運用を開始したと発表しました。
南アでは、2021年1月に政府が策定した「ワクチン展開戦略」にしたがって、集団免疫を得られると試算する人口の約67%に、2021年末までにワクチンを接種する計画を進めています。
3月29日、モロッコ政府は、新型コロナウイルス感染拡大抑制のため、フランスやスペインからの航空機と乗客の入国を、翌30日から禁止すると発表しました。
すでに禁止している37か国に加え、39か国が対象となります。
またモロッコ政府は4月8日の閣議で、4月10日まで延長されている「衛生緊急事態」を、5月10日までさらに延長すると発表しました。
ラマダン期間は4月14日ごろから1か月にわたる見込みで、ラマダン期間中は規制を強化する方針です。
4月14日、ケニアのフレッド・マティアンギ内務・政務調整長官は、現在発出している夜間外出禁止令を5月29日まで延長すると発表しました。
5月11日まで延長されたのに続き、新型コロナウイルスの感染下げ止まりを警戒して、再延長されたものです。
【WHO】世界新規感染が最悪に
4月19日、WHOの疫学者マリア・バン・ケルコフ氏は、先週の世界的な新型コロナウイルス新規感染件数が520万件にのぼり、流行開始以来最悪になったと明らかにしました。
一方で同日、テドロス事務局長は、必要な資源を公平に分配すれば、今後数か月以内にパンデミックを抑制できるとの見方を示しました。
テドロス事務局長は、4月1日に、新型コロナウイルスの起源に関する報告書について、専門家が追跡調査を実施すると明らかにしています。
また4月30日、シモン事務局長補は、米モデルナに加え、中国の2企業が製造する新型コロナウイルスのワクチンについて、緊急時使用リストに加えるか、来週末までに判断すると明らかにしました。
【その他】IATA、ワクチン接種証明パスの運用開始
3月31日、国際航空運送協会(IATA)は、新型コロナウイルスの検査結果や、ワクチン接種証明などを管理するデジタル健康パス「IATAトラベルパス」の運用を、4月半ばに開始すると明らかにしました。
チェックイン手続きの迅速化が期待されるもので、まず米アップルのiOSプラットフォーム上で、その後Andoroid上でも運用が開始されるとしています。
英ヴァージン・アトランティック航空は、3月26日に、4月16日からロンドン・バルバドス路線でIATAのアプリを試験運用すると発表していました。
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