ついに買い替えのときが来た!?
ガジェットは年を追うごとに薄くなっています。それはもう、前提です。でもiPad Air 2の薄さは、薄いということで質的に違うものになる、その一線を超えています。
僕は自分にとって初めてのiPadを2012年の夏に買いました。結婚式にデジタルフォトフレームとして置いておくのにぴったりだと思ったんです。その後2年以上経過し、アップグレードする理由は今まで感じませんでした。Webブラウジングにも問題ないし、iOSのゲームもできるし、2048×1536のRetinaディスプレイも全然古くなりませんでした。もう1回結婚するとしても、パーティでは同じiPadを使うと思います。
ただ、第三世代iPadは厚くて大きくて重く、両手で持つ必要があります。
それに対し、iPad Air 2は違います。
iPad Air 2なら、ベッドに仰向けに寝転びながら3本指で持っていられます。
こんな風に人差し指と親指ではさんでも安定していて、空いた片手で犬をなでることもできます。
そして意外なことに、これが可能なのはこの重さ437g、厚さ6.1mmのiPad Air 2だけなのです。重さ469g、厚さ7.5mmの先代iPad Airでは、同じようにはいきません。厚いし、筐体の硬さも相対的に違い(iPad Air 2のほうが硬いです)、扱いにくいです。iPad Air 2は、少なくとも僕の手では、片手で持つための一線を超えたんです。
iPad Air 2と第三世代iPadを重ねると、こんなに違います。
もちろん、iPad Air 2には他にもいろいろ良いところがあります。カメラも良いし、Wi-Fiも速くなり、プロセッサの性能も上がりました。Touch IDで指紋も読み取れます。個人的に好きなのは、スクリーンの反射が少なくなったことです。直射日光の下で見るにはまだ明るさが不足していますが、反射した自分にうっとりして気が散るのを防ぐには十分です。
とはいえ現実的にいうと、すでにiPad Airを持っている人なら、iPad Air 2を買う必要はありません。でももっと大きな疑問は、それ以前のiPadを持っている人も、アップグレードする必要があるのかってことです。そこで、古いけど完ぺきに動く第三世代iPadを持ち、懐事情はローンでギリギリのこの僕が、その疑問に応えたいと思います。
まずスクリーンから片付けます。iPad Air 2のスクリーンは、iPad史上最良です。ラミネートされ、表面のガラスとディスプレイ本体の間の空気のすき間がなくなりました。手を伸ばしてアイコンに触れると、これまで以上にちゃんと触っている感覚があります。そして上にも書いたように、反射も少ないです。でもガラスの下に詰まった310万個というピクセル数は、2年半前のiPadと同じです。この美しい高解像度スクリーンは、iPad(またはGalaxy Tab S)を買う最大の理由になりえます。ただしまだ、これだけでアップグレードするほどではないです。
このへんから話が変わってきます。iPad Air 2のA8Xチップは、iPad AirのA7プロセッサからアップグレードする理由になるでしょうか? その答えは多分ノーです。でも僕の第三世代iPadのA5Xと比べれば、追い越し車線を走っているようなものです。僕の古いiPadはアプリを開くのにちょっとのんびりしているし、Webサイトをスワイプで切り替えるときもぎくしゃくし、全般に年取った感じがします。一方、iPad Air 2は何を投げてもそつなくさばいていきます。
一番違いを感じたのはやはりゲームです。僕は第三世代iPadでも問題なくゲームをプレイできていると思ってきました。最近のBioShockは例外でしたが、その他にApp Storeにあるゲームで「プレイしたいのにできない」ってことはありませんでした。でもRepubliqueとかDead Trigger 2、Grand Theft Auto:San Andreasみたいな重いゲームをプレイしてみると、古いiPadではかなり不足であることがわかりました。
上のGIFではゲームの中のディテールがかなり違うのがわかりますが、これだけじゃ違いを表し尽くせてません。ゲームの動きもiPad 3ではかなり遅く、第三世代iPad=ぎくしゃくして遅い、iPad Air 2=滑らかで速いという明らかな違いがあります。Grand Theft Autoは見た目は同じようだし、グラフィックス的にも同じだったんですが、iPad Air 2なら本当にプレイする気になりました。
僕がタブレットを使う場所はだいたい家で、外ではほとんど使いません。iPadでは仕事もしないので、秘密のファイルもありません。Netflixのキューに、年甲斐のないアニメが入っているのを誰かに見られても別にかまいません。
だから僕がTouch IDに魅力を感じられるとしたら、その理由はたったふたつだけです。それは、お店でワンタップでものが買えること、そしてパスワードを何回も思い出さなくてもアプリをダウンロードできることです。でも、(1)iPad Air 2にはNFCがなく、(2)指紋を使っても1日1回はパスワードを聞いてくるし、(3)Apple Payでは僕の持ってるVISAカードをどれも認識しない、ってことで、まだあんまりメリットを感じられていません。
僕は今のところまだタブレットは写真撮影に適していると思ってないし、もしそう思えたとしても、iPad Air 2はまだ十分じゃありません。iPhone 6 Plusの素晴らしいカメラを試してみて、他のどんなカメラよりも簡単にちゃんとした写真が取れたので、比べるとiPad Air 2では満足できないんです。でも10インチのビューファインダー付きカメラで写真を撮りたいなら、iPad Air 2の800万画素カメラでも実際かなりきちんと撮れます。それに僕の2年半前のiPadと比べれば、当然昼と夜くらいの差があります。
明るいところではディテールがもっとよく見えるし、暗いところでも全然違います。でも、これまで古いiPadでは何も撮ったことがありませんでしたが、ものすごく必要に迫られたら使ってもいいかなと思いました。
もうひとつ、iPad Air 2にアップグレードする大きな理由があります。セルラー版を買うとき、(米国と英国だけですが)iPad Air 2なら携帯キャリアに縛られないアップルのSIMカードが入っていて、いつでもキャリアを代えられるってことです(ただしAT&Tとベライゾンは別ですが)。または、複数のキャリアのプリペイドプランを同時に使って、電波受信状況の良いキャリアをそのときそのとき選ぶという使い方もできます。またはデータ容量制限を超えたときとか、外国に行っていて普段のキャリアが使えないとか、なんでもいいんですが、自由度が高まります。
そして良いところは、費用・手間含めて初期コストが低いってことです。たとえば僕はスプリントのサービスにたった10ドル(約1,100円)で登録しました。スプリントのお店に行ったり、販売員の人と話したり、そういう面倒は一切なしです(ちなみにT-Mobileでも同じことをしましたが、問題があってテクニカルサポートに電話することになりました)。住所とかクレジットカードを入れる必要はありますが大した手間ではなく、月額プランに入らないで必要なときに1週間分のデータパスを買えばいいんです。
LTE対応タブレットを持ったことのない人も多いと思いますが、オススメです。家から出てもそのままWebサーフィンし続けられて快適だし、常時接続が必要なHearthstoneとかのゲームで敵に呪文をかけてても、データ通信料はそんなに食いません。たとえば僕は15分プレイして、300KBしか使いませんでした。
なんといってもiPadです。精巧に作られたタブレットで、App Storeには最新のモバイルゲームや便利なツールがあふれています。それにiPad Air 2は今までのよりさらに良いんです。
ベッドで仰向けに持って映画を見ても、腕が疲れないのは良いと思います。オプションのスマートカバーも素晴らしいです。
セルラー版は今、完全にアンロックされて好きなときにキャリアをスイッチできるのも良いです(米国・英国のみ)。AT&Tとかベライゾンとか、制限をかけてるキャリアがいるのは残念ですが。
バッテリーは今も終日持ちそうな感じです。1時間のTV番組を見ても、ちょっと減るだけです。今まで通り、スリープにしておけばほとんど減りません。多くのAndroidやWindowsタブレットと違い、充電も早いです。両面使えるLightningケーブルも個人的に好きで、30ピンコネクタとかマイクロUSBケーブルみたいに暗いところで挿そうとして四苦八苦しなくていいです。
Touch IDに関しては、アップルが僕の指紋をもっと信用してパスワードを聞かなくなるまで、またはApple Payでリアルのお店でものを買えるようになるまでは良いと思いません。
それから、iPad Air 2は高いです。僕は64GBのセルラー版を730ドル(日本価格7万8,800円)で買いました。64GBのWi-Fi版は600ドル(同6万4,800円)です。16GBのWi-Fi版は500ドル(同5万3,800円)ですが、ストレージはすぐ足りなくなるし、ストレージの空きが少ないとOSアップグレードのときやアプリのバックアップを取るときも厄介です。
またiPadではどうして、今も複数ユーザープロフィールを使えないんでしょうか? 僕の妻には妻自身が買ったアプリのコレクションがあります。アップルのファミリーシェアリングは、それぞれの人が自分のアップル製品を持っている前提になっています。僕らはiPhoneを買う気がなくて、だからiPadを買ったんです。
もしiPadを持っていなくてiPadが欲しい人なら、iPad Air 2が一番良いiPadです。持ちやすさ(軽さ、薄さ、硬さ、反射防止)という点では先代iPad Airより有意義にベターだし、理由としてはそれで十分でしょう。でも450ドル(日本価格4万7,800円)の先代iPad Air 32GBモデルでも別に問題ないし、先代iPad Mini 2(Mini 3じゃなく)の32GBモデルなら350ドル(同3万6,800円)です。
もし初めてタブレットを手に入れたい人がいたら、多分iPadを買うのが良いです。でもどうしてもWindowsのハイブリッドマシンが欲しいとかの場合はiPadでは役に立ちません。iPadでも仕事はできますが、従来的な意味での仕事をするためには作られていません。僕自身、モバイルSafariでGizmodoのレビューを編集する気にはなりません。
でも大きな疑問、つまり「もしiPadをすでに持ってる場合、ついに最新モデルにアップグレードすべきときが来たのか?」って問いに対しては、僕の答えはまだノーです。僕は新しいモデルに600ドル出していいと思えるほど、今持っているiPadを使い切っていません。iPad Air 2は「…でも、買っちゃってもいいかな」と思える最初のモデルでしたが、もうひと押しでした。
ただ、この「あとひと押し」のために、そんなに多くの違いが必要だとも思えません。新しいテクノロジーはつねにすぐ近くまで来ています。来年には、僕は「仕事でもiPadが必要だから」って言い訳をして次のiPadを買ってしまうかもしれません。
Sean Hollister - Gizmodo US[原文]
(miho)