Apple SIMというのは、デバイスメーカーであるAppleが発行しているSIMカードで、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国にあるApple Storeで購入できる。Apple StoreとはiPhoneの新発売のたびに販売開始の様子が報じられるあのお店のことだ。Apple製品であればすべてで利用できるのかといえばそうではなくて、iPad Pro、iPad Air 2、iPad mini 4、iPad mini 3というiPadの最新製品でのみ利用することができる。
Apple SIMの最大の特徴は、世界各地で契約から利用開始まで、すべてこのSIMカードとクレジットカードがあればデータ通信が可能になる点にある。例えば、日本人が米国に旅行する場合、普通であれば日本で契約している通信キャリア(例えばNTTドコモやau、ソフトバンクなど)の海外ローミング機能を利用するか、米国の通信キャリアが販売しているプリペイドSIMカードを購入する必要がある。
海外ローミングの弱点はコストで、ソフトバンクがiPhoneユーザー限定で提供している“アメリカ放題”というプランを別にすれば、日額(日本の0時から23時59分まで)で1000~3000円前後となっている。1週間使えば2万円を超えてしまうこともあるのだ。
現地のプリペイドSIMカードの弱点は、何らかの形でSIMカードを物理的に入手する必要があること。例えば現地到着後に通信キャリアのショップへ行くなどしてSIMカードを入手し、プリペイド契約をしないといけない。空港に着陸してSIMカードを入手するまで、道順をGoogle マップで調べようと思っていてもできないことになってしまう。
Apple SIMはそうした海外ローミングと現地でプリペイドSIMを購入するやり方のよいところを合わせたような仕組みになっている。ユーザーがApple SIMを入れたiPadないしは9.7インチiPad Proのセルラー通信をオンにすると、Appleが提供している契約線用の回線に自動で接続される。ユーザーはそこに表示された選択肢(多くの国で複数の通信キャリアが選択肢として用意されている)から、望みの通信キャリアを選び、クレジットカード情報などを入れると、契約が完了しデータ通信が可能になる。料金は国や通信キャリアによって異なるが、多くの国で日本の通信キャリアのままで何日も海外ローミングする場合に比べれば安いことが多く、すでに述べたとおり別途プリペイドSIMカードを入手する必要がないので、現地に到着してすぐオンラインで契約すれば利用できるのは便利だ。