「Redmi 9T」レビュー! 1万円台後半でもカメラや性能が安定した大画面スマホ

沿って : Ilikephone / On : 07/03/2023

Redmi 9T。カラーはカーボングレー、オーシャングリーンの2色が用意されています。今回試用したのはカーボングレーです

コスパに定評のあるシャオミの中でも、Redmiシリーズはもっとも低価格なゾーンを担うシリーズ。Redmi 9Tは量販店価格で税込17,500円前後と、日本向けのシャオミスマホでも最もお手頃な入門モデルとなっています。

goo SimsellerやBIGLOBEモバイルではSIMカードを同時契約すると、実質0円に近いキャンペーン価格で手に入るこのモデル。しかし低価格ながら、大画面や指紋認証、4眼カメラなど魅力的な要素も備えています。実力をみていきましょう。

SIMフリーで最安クラスの入門スマホ

ディスプレイは6.53インチ、フルHD+解像度のTFT液晶を搭載。HDRは非対応です。TFT液晶とはいえ視野角による変化は少なめで、少なくとも手で持って使う範囲では機にならない程度には明るく表示できます。

スピーカーは2台を内蔵し、最大音量にすると屋外でも響くほどの音量になります。ただし、モノラルスピーカーのため音質は平板な印象も。3.5mmイヤホンジャック搭載で、FMラジオ機能も対応します。

大きさは162.3×77.3×9.6mm、重さは198g。縦長過ぎない大画面で、動画や電子書籍を楽しむにはちょうど良いサイズ感です。一方で、前面は左右のベゼル幅以上に側面が出っ張っているため、最近のスマホにしては額縁が大きいように感じるかもしれません。

ボディは樹脂製ですがチープさは感じさせません。背面のカメラを中心に波上の彫り込みが施されており、独特の光沢感を演出しています。この彫り込みには指紋を目立ちにくくする役割もあります。

全体を見るとやや厚みを感じる印象ですが、背面は左右にかけてなだらかなカーブを描くような形状で、持った時に厚みは気になりません。本体自体に厚みをも持たせているため、4眼カメラユニットの出っ張りは1mm以下に収まっています。

目玉は4眼カメラ。超広角やマクロも搭載

Redmi 9Tの目玉は4眼の背面カメラ。4,800万画素(メイン)+800万画素(超広角)+200万画素(深度センサー)+200万画素(マクロ)という組み合わせで、4,800万画素の高画素センサーを中心に、他のカメラで超広角域をカバーしたり、被写界深度やマクロ域の弱さを補正したりして、あらゆるシーンの撮影に対応します。

4,800万画素センサーは高解像度で撮るだけではなく、暗いシーンでは4つのピクセルを組み合わせて、明るい1,200万画素センサーとして機能します。さらに、デジタルズームで切り出して解像感を残せるという点でも有用です。

実際に撮れる写真は、約17,500円という価格帯を考えると充分な写りです。屋内での撮影はもちろん、夕方の薄暗いシーンでも明るく写せます。

夜景はさすがにそれほど強くはありませんが、夕暮れの薄暗い時間でも充分な明るさで撮影可能。HDR撮影でも無理に明るく補正しすぎないため、違和感のない自然な見た目に仕上がります。

マクロレンズも備えているため、小さいものもきれいに撮影できます。拡大してみると多少、細部のディテール表現が甘い印象を受けますが、価格を考慮すると十分以上の写りに思えます。

「Redmi 9T」レビュー! 1万円台後半でもカメラや性能が安定した大画面スマホ

前面にある水滴型の切り欠きの中には800万画素のインカメラを搭載。写真撮影では、肌を滑らかに補正するビューティー機能が働きます。

使用感は良好、引っかかりが気になる場面も

チップセットはSnapdragon 662を搭載。クアルコム製で最新世代のミドルレンジ向けチップセットです。一方、メモリは4GB、ストレージは64GBと、いずれも2021年のAndroidスマホとしては控えめな水準。ストレージについてはmicroSDカードを差し込んである程度補えますが、メモリは長期間使う上では不足を感じることが増えそうです。

シャオミスマホの特徴として、独自UI「MIUI」を搭載しています。Google Playも使えるフル機能のAndroidですが、設定メニューのデザインや、自然の音をモチーフにした通知音やアラーム音などで独自色を出しています。

プリセットアプリも充実しており、QRコードスキャナーや画面録画ツール、コンパスなどを標準搭載しています。低価格を実現するために一部のアプリでは広告表示があり、たとえばクリーナーアプリでスマホのメモリを消化した際などに広告が表示されます。

使用感は総じて良好で、SNSや電話、メール、Web検索がメインなら、このスマホでも十分に使いこなせそうだと感じました。

ただし、しばらく使い込んでいくと、細かな動作のひっかかりが気になってきます。たとえばホーム画面でニュース一覧を読み込むとき、画像の読み込みで1~2秒ほど待たされたり、カメラを起動するまでに3~4秒かかったりと、やや待たされると感じるシーンが増える印象です。

動作遅延の一因として、起動中のアプリが増えてメモリが使われている可能性も考えられます。こうしたシーンではMIUIのブースト機能が有効でした。動作が重いときに起動すると、ワンタップでメモリを解放して、体感速度を改善してくれます。

ゲームはジャンルにもよりますが、ある程度は快適にプレイできます。ただし、3Dのアクションゲームのような、特に処理性能が求められるタイトルを遊びたいなら、このスマホは避けた方が無難でしょう。

負荷のかかるタイトルの1つ『原神』をプレイしてみましたが、画質設定で「低」を選べばプレイに支障はない状況でした。一方、画質を「標準」以上に引き上げた場合には描画の遅延が目立ち、快適に遊べるような状況ではありませんでした。

指紋センサーや大容量バッテリーがうれしい

生体認証では、側面の電源ボタンに指紋センサーを備えています。アカウントの自動入力などで生体認証を使う機会が多くなっているなか、低価格なスマホでもきっちりカバーしてきた点は好印象です。

また、バッテリーは6,000mAhと大容量。動画視聴やカメラ撮影などを繰り返しても、まるまる2日は充電を気にせず使えました。18Wの急速充電に対応するのは、大容量バッテリーだからこそ重要なポイント。22.5W充電のUSB充電器が付属するのもうれしいところです(この充電器ではMacBook Airも充電可能です)。

モバイルネットワークは、4G LTE/3Gに対応。国内ではNTTドコモ網とソフトバンク網への互換性があります。デュアルSIMをサポートし2回線の同時待受が可能で、nanoSIMカード2枚とmicroSDを同時に利用できる仕様です。Wi-FiはWi-Fi 5(IEEE802.11ac)までをサポートします。

同時発表されたソフトバンク専売の「Redmi Note 9T」と異なり、Redmi 9Tはおサイフケータイ非対応。防水も対応しませんが、防滴仕様をうたっています。

このほかユニークな機能として、最近のスマホでは珍しくなった赤外線通信ユニットを搭載しています。連絡先をやり取りするためではなく、テレビやエアコンのリモコンで使うための赤外線対応です。標準搭載の「Miリモート」アプリではたくさんの家電を設定できますが、日本で販売されているメーカーの種類はあまり多くない状況です。筆者宅のエアコンは富士通製とダイキン製の2機種とも登録可能でしたが、ハイセンス製のテレビは動作する信号が用意されていない状況でした。

まとめ:大画面、カメラ、電池持ちはお値段以上

Redmi 9Tは約17,500円というお手頃価格のエントリースマホでありながら、オーソドックスな機能はしっかりとカバーしたモデルです。特に大画面ディスプレイや4眼カメラ、電池持ちといった要素にはコストパフォーマンスの高さを感じさせます。198gという重さや防水仕様でない点さえ許容できれば、普段使いで支障は感じないでしょう。

ただし、ゲームなどでシビアに使い込んでいくと動作がついてこないように感じる場面もありました。この辺りは値段を考えると致し方のない部分かもしれません。

LTE周波数の関係上、楽天モバイルで使うには適していませんが、NTTドコモの「ahamo」や、ドコモ・ソフトバンク網の格安SIMと組み合わせれば、コスパの良さを存分に発揮するでしょう。

Redmi 9Tの主な仕様

著者 : 石井徹

いしいとおる

モバイルが専門のフリーライター。スマホを中心に5GやAIなど最新技術を幅広く取材する。スマホ購入履歴は100台以上。3キャリアのスマホを契約し、どこでも通信環境を確保できるよう心がけている。

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