現在、米国のみでサービスが行なわれている「Apple Pay」。6月8日(現地時間)に行なわれたAppleのWWDC(World Wide Developers Conference=世界開発者会議)では、今秋にもイギリスでサービスを開始することを明らかにした。
日本で使えるようになる日がいつなのかは全く分からないが、せっかくiPhone 6を持っているし、こんな仕事をしているのだからいち早く試したい。実際にチャレンジしたところハードルはあちこちに点在しているが、日本在住でたまにアメリカにやってくる筆者でもどうにか利用できたことの次第を紹介する。ちなみにApple Payで最初に買ったのは、Whole FoodsのFood Barによるランチである。
まず最初に言っておくが、筆者はクレジットカード選びやポイントサービス、店舗のロイヤリティプログラムが大好きだ。ただし各種カードで財布が厚くなるのは大嫌い。この矛盾を最初に解消したのが、国内ではフィーチャーフォンからサービスが開始された「おサイフケータイ」である。FeliCaを使ってSuicaをはじめとする交通系カード、各種プリペイドカード、店舗のポイントカードなどの情報がフィーチャーフォンやスマートフォンの中に記録される。ケータイを1個持てば、数枚のカードを財布に入れて持ち歩く必要はなくなった。
こうした思想的な背景と、Appleのすることなら何でも驚いて褒める人もいる中で、Appleのサービスはとりあえず自分で使ってみないことには善し悪しは評価できないという筆者の信条から、Apple Payを自分のiPhone 6でも利用できるようにした。今回の買い物山脈は、この過程と必要になったコストを紹介する。Apple Payの仕組み的な部分はテイストが異なるため、同時掲載した特別企画でレポートしている。是非合わせて読んでいただきたい。
Apple Payは米国のみでサービスを行なっている。これはApple Payに対応するクレジットカード/デビットカードを発行するクレジットサービスと銀行が米国のみに限られるからだ。ただし、有効にしたApple Payは、これらのクレジットカード/デビットカードが利用できる世界の国々の一部でもそのまま利用できる。運用面では国際クレジットカード/デビットカードということになり、極めて限定的だが日本国内でもApple Payで支払いができる場所はある。これは後ほど紹介する。
コンタクトレス(非接触)で支払いを済ませることから、決済サービスと誤解されがちだが、より正確にはApple Payは「Walletサービス」である。Appleはカードを発行しない。あくまで米国の銀行などが発行したカードを電子的にWalletの中に納めて、セキュアな支払い手続きを行なうだけである。つまり、ユーザーの手には実際のカードが同時にある。米国で発行されたクレジットカード/デビットカードが必要、これが最初のハードルであった。