求められるコストパフォーマンス
2019年の電気通信事業法改正により、国内のスマートフォン市場では端末購入補助金が大幅に制限され、売れ筋が大きく変化してきたとされる。
これまで強いとされていたiPhoneもここ数年の高価格路線が徐々に敬遠され、iPhone 12シリーズで期待されていたiPhone 12 miniはまったく奮わない状況にある。
各携帯電話会社が販売する端末ラインアップも一部のハイエンドモデルを除き、10万円以下のモデルが中心に展開され、売れ筋は3~5万円台のモデルが中心となりつつある。
一方、SIMフリースマートフォンが展開されるオープン市場は、少し微妙な状況にある。これまでオープン市場向けのSIMフリースマートフォンは、主にMVNO各社のSIMカードを利用するユーザーに広く支持されてきた。ところが、昨年来の政府の強力な値下げ圧力を受け、主要3社が従来よりも数千円程度、割安な新料金プランを発表し、オンライン専用プラン(ブランド)や低価格ブランドも拡充を図ったことで、MVNO各社が厳しい戦いを強いられている。
そのため、オープン市場向けのSIMフリースマートフォンの販売状況が落ち込んで……と想像してしまいそうだが、実は必ずしもそうではなく、意外に堅調な売れ行きを示しているモデルが増えているという。 その 主戦場となるのは、やはり、3~5万円台以下のミッドレンジで、MVNO各社のSIMカードを挿して利用するだけでなく、MNO各社と契約したSIMカードでの利用も増えているようだ。
特に、主要3社のオンライン専用プランは、各プランごとの違いがあるものの、これまでのメインブランドと違い、端末販売にはあまり積極的ではなく、LINEMOのように「当面は販売を予定していない」とするケースもある。つまり、オープン市場で展開されるSIMフリースマートフォンは、今まで以上に幅広いユーザーから注目されることを意味している。
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今回、オープン市場向けに発売されたシャオミのSIMフリースマートフォン「Redmi 9T」は、そんな国内市場において、最安値クラスを実現したモデルになる。
シャオミについては本連載でも何度か取り上げてきたが、2019年12月の国内市場参入以来、オープン市場向けにはフラッグシップモデルの「Mi Note 10」や「Mi Note 10 Pro」、ミッドレンジの「Mi Note 10 Llite」や「Redmi Note 9S」を展開する一方、昨年夏にはau向けに初の5G端末「Mi 10 Lite 5G」を供給するなど、着実に国内市場への浸透を図ってきた。グローバル市場でも米アップルを抜き、第3位を獲得している。
シャオミのラインアップについて、簡単におさらいをしておくと、「Mi」の名が冠された「Mi MIX」シリーズと「Mi」シリーズをプレミアムフラグシップ、「Mi Note」シリーズと「Mi T」シリーズをフラグシップ、「Redmi Note」シリーズをミッドレンジ、「Redmi」シリーズをエントリーレベルに位置付けている。つまり、今回のモデルはシャオミのラインアップで、もっともエントリーのシリーズになる。ちなみに、同じタイミングでソフトバンクから発売された「Redmi Note 9T」は、5Gに対応したミッドレンジに位置付けられる。ネーミングが似通っているが、混同しないようにしたい。
昨年発売された「Redmi Note 9S」(右)に比べ、わずかに幅が狭く、わずかに高さが長い。写真ではわかりにくいが、「Redmi 9T」(左)はやや画面が暗い
価格についてはすでに販売が開始されており、今のところ、1万7000円前後で販売されている。この2万円を切るという価格設定は、現在、国内で販売されている主要メーカーのスマートフォンとして、もっともリーズナブルなものだ。
内容については本稿で順次、説明するが、単純に値段だけを追求したモデルではなく、一般的な用途であれば、十分に実用できるモデルとして、しっかりと仕上げられている。販路については家電量販店やAmazonなどのECサイトなどに加え、主要MVNO各社がセット販売の端末としても扱っており、買いやすくなっている。