Moto 360さん、ご無沙汰しています。
私にとってMotorola(モトローラ)のMoto 360は今も憧れのスマートウォッチ。四角ではなく円形のディスプレイが本当に魅力的で、喉から手が出るほど欲しかったのを覚えています。
そんなMoto 360の新モデルが昨年末に発売されたので、米GizmodoのVictoria Songがレビューしてくれました。前モデルから4年の時を経て帰ってきた最新モデルは、一体どのようなスマートウォッチ に生まれ変わったのでしょうか。
新しいMoto 360は不具合もなく、特に大きな問題もありません。ですが同時に、特別なスマートウォッチってわけでもありません。
あのMoto 360 が帰ってきた
なぜ最新モデルにも関わらず、がっかりしてしまったのか。それはMoto 360の過去を探れば分かります。
2014年に発売されたMoto 360(初代モデル)は、Googleが開発したスマートウォッチ向けOS、Wear OS(旧:Android Wear)を搭載したスマートウォッチの中でも最も人気が高いモデルの1つでした。タッチスクリーン型に加え、見た目が美しいスマートウォッチとしても大変人気でした。ですが、Moto 360には同時にいくつか欠点も存在したのです。特に不評だったのは、丸い画面の下部を切り取るように入っている黒い余白。こちらは初代、2世代目共に強い印象を残しました。その後Motorolaは、ウェアラブルへの関心が全体的に薄れていることを理由に、2016年後半にスマートウォッチから撤退しています。
ですが2019年末、Moto 360の最新モデルが発表されたのです。魅力的なデザインは初代と変わりありませんが、時計本体はアップグレードされています。新しい展開として、製造元がMotorolaではなくなったということです。ちなみに新しい製造元はeBuyNowへと移っています。
Moto 360 (2019)
これはなに?:Moto 360の第3世代モデル( 製造元がMotorolaではない)価格は?:350ドル(約37,700円)好きなところ:ちゃんと機能するところ。フィットネストラッキングの精度が正確。Wear OS搭載のスマートウォッチとしてそう悪くないバッテリーライフ。好きじゃないところ:薄暗いスクリーン。350ドルもするのに、他のWear OS搭載のスマートウォッチとほとんど変わらないところ。
他のスマートウォッチとさほど変わらない
2016年以降、スマートウォッチは大きく変わってきています。Wear OS搭載のスマートウォッチは円形ディスプレイが主流となり、もはや真新しいものではなくなりました。新しいMoto 360の中身は、全く画期的ではありません。スペックに関してはFossil Gen 5や Skagen Falster 3とほぼ同じです。
新しいMoto 360の主なスペックとして、プロセッサはQualcomm Snapdragon Wear 3100、RAM 1GB、ストレージ 8GB、近頃のWear OS搭載のスマートウォッチに内蔵されている加速度計、気圧計、光学心拍数センサー、ジャイロセンサーなどがMoto 360にも含まれています。あとはGPS内蔵で、NFC決済にも対応しています。
バッテリーに関してはMoto 360は急速充電に対応しているので、約1時間ほどで満充電が可能です。実にクールな機能ですが、2018年に発売されたFossil Sportではすでに実装済みです。
Moto 360の機能面やスペックに関しては、近頃のWear OS搭載スマートウォッチとほとんど変わりません。常時表示対応の1.2インチ AMOLEDスクリーンは、明るい部屋や直射日光の下でも薄暗く、非常に見ずらかったです。
フィットネストラッキング機能に関しては、Google Fitに頼る必要があります。昔のバージョンに比べ、良くはなっていますが、Apple Watchにプリインストールされているワークアウトアプリと張り合えるほどではありません。もしもフィットネス愛好家ならば、自分好みのワークアウトアプリをダウンロードすることをお勧めします。
デザインの選択肢は少なめ
新しいMoto 360には光沢感がありません。カラーバリエーションはローズゴールド、スチールグレイ、ブラックの全3色から選べます。私は実際にスチールグレイを試してみました。
バンドは本来であれば2種類(1つはシリコン製、もう1つはレザー製)あるはずでしたが、最初に私のレビュー用に届いたのはシリコン製のバンドのみで、レザー製のバンドは含まれていませんでした。プレス向けのサンプル品はまれに使い回しになることがあるのでそれが原因かなと。(バンドの使い回しは衛生的にちょっと...。)最終的にレザー製のバンドを送ってもらえたのでじっくりと見てみました。レザー製バンドは期待通りの見た目でしたが、箱から取り出すと同時に傷が付いてしまいました。
レザー製バンドを時計本体と組み合わせることにより、Moto 360は全体の見た目がグッと良くなりました。シリコン製バンドに関しては、私が普段感じるような不快なものではありません。2020年でも通用するようなデザインですが、大して立派なものでもありません。シリコンバンドの見た目はシンプル、おとなしめな感じで、着け心地に関しては比較的快適でした。
円形ディスプレイで考えると、Falster 3やSamsung Galaxy Watch Active2の方がMoto 360よりも見た目が優れているスマートウォッチです。Moto 360の最も特徴的なデザインは、サイドボタンの1つに描かれている小さなMotorolaのMマークでしょう。
フィットネストラッキングの精度は良好
Moto 360のバッテリーは悪くありません。GPS機能を使う頻度にもよりますが、平均で1日半〜2日は充電する必要がありませんでした。たった30分の充電でさえも、急速充電のおかげで会社までの通勤はもちろんのこと、1日中問題なく使うことができました。
次に、フィットネストラッキングの精度を測るため、Moto 360を身に付けランニングテストを2回行いました。結論から言うと、結果は良好でした。
1回目のランニングでは、まず最初にMoto 360を身に付けて4.58マイルの走った距離に対し、平均ペースは10分30秒を記録しました。私のスマホの場合、4.62マイルの走った距離に対し、10分20秒の平均ペースを記録しています。測定結果が近かったことから、精度に関しては非常に正確であることがよく分かります。 私はさらに比較するため今度はApple Watch Series 5を身に付け同じ状況でランニングをしました。結果は4.5マイルの走った距離に対し、平均ペースは10分40秒を記録しました。
2回目のランニングでは、私のスマホは3.1マイルの走った距離に対し、平均ペースは9分55秒を記録しています。Moto 360は2回目のランニングでも再び感動的な結果を見せてくれました。Moto 360の2回目では、3.08マイルの走った距離に対し、平均ペースは10分05秒を記録。一方、Apple Watch Series5の場合、3.03マイルの走った距離に対し、10分11秒の平均ペースを記録しています。 これらの結果はわずかな違いとも言えますが、より重要なのはMoto 360の結果が他の2つのデバイスと比較してもほぼ同じだったということです。 心拍数でも同じことが言えます。 ランニング中の心拍数を記録したグラフを見ると、Apple Watch Series5、Moto 360 、さらには私が身に付けていたPolar H10チェストストラップの心拍数もほぼ同じ結果だったことが分かっています。
値段に納得が行かないMoto 360
Moto 360はほぼ素晴らしいスマートウォッチと言えますが、すごく興奮するわけでもありません。価格を除くと、Moto 360は現在発売中の他のWear OS搭載のスマートウォッチと同等のモデルと言えます。 Moto 360の価格は350ドル(約37,700円)とお高めです。MotoloraブランドのFossilスマートウォッチと考えると、あまり納得が行くものではありません。 気取った金属製のバンドを除いた場合、Fossilのスマートウォッチは295ドルで入手することができます。つまり最新のMoto 360より55ドルも安く購入できるわけです。上位モデルにあたるGen 5でも、5ドル安い345ドルで購入可能です。これらのスマートウォッチがMoto 360の中身と仮に同じだったとしても、Moto 360はデザインの選択肢が少なく、スクリーンも暗いので価格に納得がいきません。
これは、Galaxy Watch Active2にも当てはまることです。Active2は、42mm(Moto 360と同じサイズ)で300ドル、40mmサイズなら280ドルから購入可能です。 実際Active2は、価格に見合うだけの価値があります。 Samsung(サムスン)は、スマートウォッチのためにTizenと呼ばれる優れたOSを開発しました。Active2は、より革新的なタッチベゼルを搭載し、今後のアップデートで心電図まで取得できるようになります。 ランニングテストを通してフィットネストラッキングの精度に関しては問題をいくつか見つけましたが、サムスンはその後数回ソフトウェアアップデートをリリースしています。 (修正のため?)一方、200ドルのFitbit Versa 2でも同じような機能がたくさん含まれていて、Moto 360よりも多く文字盤を彩ることができます。
Moto 360は"目立たないスマートウォッチ"として注目されそう
テクノロジーでも、思い出補正は強力なものになりえます。当時、Motorolaブランドの縦方向に折り畳めるスマートフォン「Razr(レーザー)」を誇大に宣伝したのがその証拠です。 MotorolaはRazrのローンチでやらかしてしまいましたが、それでも親しまれてきた技術が"新しい方法"で戻ってくることに人々は興奮していました。残念ながらそれはMoto 360には当てはまりませんでしたが..。
実際1500ドルもする折り畳みスマートフォンに対して、ほとんどの人は喜んでお金を出そうとはしませんでした。これはMoto 360でも同じことです。スマートウォッチはごく一部のガジェットオタクの中に潜むノスタルジックな感情を引き起こす引き金みたいな存在ですから。
Moto 360は特に目立った新機能もなく、他のWear OSスマートウォッチよりも値段が高いことを考えると、どれほど目立たないスマートウォッチになれるのか、で注目が集まりそうです。
まとめ
・Moto 360の中身はFossil Gen 5と同じ。Wear OS搭載のスマートウォッチ。
・正確なフィットネストラッキング。だけど、ユニークなアプリは入っておらず。
・価格は350ドル(約37,700円)。同じスペックを持つモデルやより多くのデザインから選ベルスマートウォッチ の方が50ドル安いと考えると、Moto 360は高額。