キヤノンマーケティングジャパン株式会社セキュリティソリューション企画本部セキュリティソリューション企画部 セキュリティソリューション企画第一課井上 弘紀氏
庄氏:ECOSは、Microsoft 365の利用時に、共有するファイルや送受信するメールのマルウェア対策、スパムメール対策、フィッシング対策を行うことで、さまざまな脅威からの保護を実現します。クラウドサービスであるため、Microsoft 365で使用しているネットワーク経路を変更することなく、速やかに導入できるのも大きな特長となっています。
ちなみに当社が提供するESET PROTECTソリューションのラインナップには、ECOSによるMicrosoft 365の利用環境の保護に加えて、エンドポイントの総合的なセキュリティ対策を実現する「ESET PROTECT Complete クラウド」という製品も用意されています。
さらに、脆弱性を突いた攻撃をはじめ未知なる脅威に備えるべく、セキュリティ強化を目指してECOSに「クラウドサンドボックス機能」を無償で追加しました。もちろん、ESET PROTECT Complete クラウドについても適用されており、特に導入作業をしなくても自動的に機能アップデートされています。
ESET Cloud Office Securityの機能をさらに強化する「クラウドサンドボックス機能」の実態と、無償アップグレードの理由とは
──今回、無償で追加された「クラウドサンドボックス機能」とはどのようなものか、簡単に説明をお願いします。
庄氏:ECOSにおけるクラウドサンドボックス機能は、Microsoft 365をより安心・安全に利用できるようにするために大きく2つの役割を担っています。
まず1つ目が未知の脅威の自動解析・自動防御です。不審なサンプルをクラウドベースの解析環境「ESET Cloud」へ自動で送信、大半のサンプルを数分以内に解析し、悪質と判断した場合には自動防御します。ESET Cloudでの解析には、3つの機械学習モデルを用いたサンプル比較、サンドボックスによるシミュレーション、最新のスキャンエンジンによる異常分析など、ESETの最新テクノロジーが用いられています。そして2つ目は解析結果のレポートであり、これはECOS内のダッシュボード画面から簡単に閲覧可能となっています。そこでは、悪質なものであるかどうかの判断や、サンドボックスシミュレーションで観察された挙動などを把握できます。
──リモートワーク時においてもMicrosoft 365利用時のセキュリティを確保することのできるECOSに、さらに今回、無償でクラウドセキュリティ機能が追加された理由は何でしょうか?
庄氏:前述したように、リモートワークを始めとする新しい働き方が広がるなかで、コラボレーション・コミュニケーションツールをはじめとしたクラウドアプリケーションの利用は拡大する一方にあります。なかでもMicrosoft 365は、2020年の調査によると、グループウェア市場において51%のユーザーが利用するという圧倒的な人気となっています。そしてグループウェア以外のさまざまな機能においても、Microsoft 365は高い利用率を示しているのです。
このような現状を踏まえて、ESET社としてはESETユーザーに対する価値提供として、ECOSの機能向上は重要であると判断しています。そこで、ECOSにクラウドサンドボックス機能を追加することで、より一層の多層防御を実装して、さらなるセキュリティ向上を実現することとなったわけです。
そしてクラウドサンドボックス機能を追加しても価格を据え置きにした理由ですが、これも “ESETユーザーに対してさらなる価値提供を行うため”の一言に尽きます。当社では、ECOSを含めて、ESET PROTECTソリューションとして、お客様のニーズに合わせた多様な製品をご用意しており、それらの製品を通じて、お客様にいかにしてさらなる価値を提供していくか──というのは、至上命題でもあるのです。
──ECOSとクラウドサンドボックス機能との連携により、具体的にどのようなセキュリティ対策が可能になるのでしょうか。
庄氏:クラウドサンドボックス機能の役割としてもお話ししたように、グレーなサンプルをクラウドの解析環境へ自動送信し、自動解析を行い、解析結果が悪質だった場合には自動防御することが可能となります。また、高度な解析を行うために必要となる膨大なコンピューター・リソースをクラウド側が持っていますので、エンドポイントには負荷をかけずに、スムーズにセキュリティ対策が行えるといった特長もあります。
未知の脅威が増え続けるなか、今後はクラウドサンドボックスが“当たり前”の時代に
──最後に、今後の企業のセキュリティ対策のあり方はどのように変化していくと見ているかお聞かせください。
井上氏:攻撃側も進化を続けており、標的型攻撃のような巧妙な攻撃手法が増加するとともに、未知なる脅威も増大する一方にあります。そうした状況にあっては、もはやすべての脅威を検知し、排除することはますます困難になっていくことでしょう。それだけでなく、逆に怪しい振る舞いをすべからく排除していたのでは、業務に支障を及ぼす可能性もあります。
このようなサイバー攻撃の進化や拡大に対しても、不審なファイルを業務に支障を与えることなく発見できるのがクラウドサンドボックスなのです。そのような情勢を踏まえても、今後のマルウェア検出においては、サンドボックス機能が使えることが“当たり前”の時代がやってくると見ています。
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