写真01: 写真上から、PFU Happy Hacking Keyboard PD-KB420B、東プレ REALFORCE 91U、同R3HC22のキートップの嵌合部。同じ形状になっているようだ
R3HC22は、Bluetooth用に単三乾電池を2本内蔵できる。しかし、USB接続時には、USB側からの給電でのみ動作でき、Bluetooth接続であっても乾電池を入れておく必要がない。これは大きなメリットだ。まず、バッテリ機器は、常に残量の管理が必要でこれが面倒だ。もう1つは、乾電池の液漏れだ。国産の電池では昔に比べると少なくなったが、乾電池を入れているのを忘れてしまうと、液漏れで接点がさびてしまうことがある。この点、電池を入れないでも動作できるのはありがたい。
Bluetoothは最大4台の接続が可能で、Fnキーと数字キー1~4の組み合わせで切り替えが可能だ。ペアリング時に広告するBluetoothのデバイス名を自由に設定でき、さらに後ろに「1」~「4」が付く。また、R3 Softwareには、接続先の機器名称などを記録できる。こうした配慮により、どのコンピュータにどの番号をペアリングしたのかを覚える必要がない。過去に複数コンピュータと接続可能なBluetoothキーボードはいくつも使ったが、ちょっと使わないと対応関係を忘れてしまうため、接続先を書いたシールをキーボードに貼らねばならなかった。
もう1つ「ヨカッタ」と思える点にキーボード奥側の側面が平らで、ここを下にして立てておくことができることが挙げられる。もっとも意識して設計されたのかどうかまではわからない。
キーマップ入れ替え
R3 Softwareを使うとキーを押したときの出力コード(USB HIDのUsage)を変更することができる(写真02)。これはキーボード内部に記録されるため、専用ソフトなしでカスタマイズしたキーマップを使うことができる。
キーマップ入れ替えは、通常状態とFnキーを押したときの2つの配列をAとBの2つのパターンとして登録できる。AとBの切り替えはキーボードで行えるため、パターンのうち片方を非PC機器用に割り当てて使うことができる。割り当てるUsageは16進数(0x00~0xDF)での指定も可能だ。これは、ユーザープリセットと呼ばれている。詳細な説明はないが、おそらくUSB HIDのKeyboard/Keypad PageのUsage IDを数値で定義するものだと思われる。USB HIDでは、さまざまなキーやボタンを32 bitのUsageで定義している。Usageは、上位16 bitのPageと下位16 bitのUsage IDに別れている。Usageは、以下のドキュメントに定義されている。
・USB.org HID Usage Tableshttps://www.usb.org/sites/default/files/documents/hut1_12v2.pdf
キーマップ入れ替え機能で、マルチメディアキーとして用意されているキーコードには、AC Home(Usage IDのApplication Control Home。アンドロイドやChromebookではホーム画面キーに相当する)はあるが、「戻る」(同AC Back)、「進む」(同AC Forward)などの一部のキーが定義されていない。これは、Consumer PageのUsageなので、Keyboard/Keypad Pageを想定してUsage IDを定義するユーザープリセットでは対応できないようだ。このあたりについては、純粋にソフトウェアの問題と思われる。というのは、AC Homeを割り当てることができるのに、AC Forward/Backが割り当てられないハードウェア的な理由を考えにくいからだ。単純な「入れ忘れ」なのかもしれない。これについては、今後のバージョンアップに期待したい。
ここ1カ月ほど、R3HC22を触っているのだが、少なくともデスクトップで使う分には、目立った問題もなく、全般的に好印象である。残念ながらコロナで外出がままならず、外出先での利用はほとんど評価していない。同じ静電容量無接点方式の91Uを、筆者は2006~7年頃から、もう10年以上、毎日叩き続けているが何も問題がない。同じキースイッチを使うR3HC22は、耐久性という点でも心配はなさそうだ。